就職しようと思っても、言葉にしきれない不安が先に立って手が止まる。そういう状態でこのページを開いた方が多いと思います。
ただ、ひとくちに不安といっても中身はさまざまです。生活費が続くかという不安と、入社しても続けられるかという不安と、周囲にどう見られるかという不安は、同じ言葉で呼ばれていても、減らし方がまったく違います。
この記事では、就職への不安を3つに分け、今の自分の不安がどれに当たるかを判断したうえで、それぞれに対応する確認を進める方法を示します。不安を消してから動く方法ではなく、不安を抱えたまま次の一手を決めるための整理です。
就職の不安は「確かめられること」と「今は決まらないこと」が混ざっている
結論から書きます。就職への不安が動けないほど大きくなっているときは、調べれば答えが出ることと、今の時点では誰にも分からないことが、頭の中で一つの塊になっていることがあります。
たとえば「入社しても続かないかもしれない」という不安には、少なくとも次の3つが混ざっています。
- 残業がどのくらいあるのか(求人票や面接で確認できる)
- 仕事の内容が自分に合うか(働いてみないと分からない部分が残る)
- そもそも採用されるかどうか(相手が決めること)
この3つは扱い方が違います。1つ目は確認すれば小さくなります。2つ目は確認しても消えないので、合わなかったときにどうするかを先に決めておく話になります。3つ目は、自分がどれだけ考えても結論が出ません。
不安を一つの塊のまま抱えていると、本当は確認すれば減る部分まで、どうにもならないものとして扱ってしまいます。まず分けるところから始めてください。
転職エージェントとして10年目になりますが、相談の場で話をうかがっていると、不安の中身が整理されないまま時間だけが過ぎている方は少なくありません。紙に書き出して種類を分けるだけで、次に何をすればよいかが見えてくる場合があります。
就職への不安を切り分ける3つの判断軸
判断軸1:調べれば答えが出る不安か
最初に分けたいのは、情報が足りないことから来ている不安です。
休日が何日あるのか、残業がどの時期に出やすいのか、給与がいつ支払われるのか。こうしたことは求人票や面接、入社前に示される書面で確認できます。確認できることについて想像だけを重ねていると、実際より悪い想定に寄っていきやすくなります。
見分け方は単純です。「誰かに聞けば答えが返ってくるか」を考えてください。返ってくるなら、それは悩む対象ではなく確認する対象です。
判断軸2:入社前に確認できる不安か、働いてみないと分からない不安か
調べれば答えが出る不安でも、確認できるタイミングは分かれます。
| 確認するタイミング | 確認できること | 確認する手段 |
|---|---|---|
| 応募の前 | 仕事内容、勤務地、給与の幅、雇用形態、募集背景 | 求人票 |
| 面接のとき | 1日の仕事の流れ、残業が出やすい時期、入社後の教育の進め方 | 面接での質問 |
| 内定後・入社前 | 給与の締め日と支払日、試用期間の有無と期間中の条件、配属先 | 労働条件を示す書面(労働条件通知書・雇用契約書など) |
| 入社後 | 仕事内容が自分に合うか、職場の人との相性 | 実際に働いてみる |
このうち、内定後・入社前に確認する欄を飛ばしてしまう方がいます。内定が出た安心感で、条件の確認が後回しになるためです。書面を受け取っていない場合は、入社日までに労働条件を書面で確認したい旨を伝えてください。聞きにくいと感じるかもしれませんが、入社後の認識違いを防ぐための確認です。
一番下の「入社後」の行は、どれだけ準備しても前倒しできません。ここに属する不安を応募前に解消しようとすると、いつまでも応募できなくなります。
判断軸3:自分が決められる範囲の不安か
3つ目は、決定権が誰にあるかです。
採用されるかどうか、どこに配属されるか、同僚がどんな人かは、自分では決められません。決められないことを考え続けても結論は出ないので、自分が決められる範囲に注意を戻します。
自分で決められるのは、どの職種に応募するか、何社に応募するか、いつまでに決めるか、合わなかったときにどうするかの4つです。応募先が1社しかないと、採用・不採用という自分で決められない事柄に結果のすべてが乗ってしまい、不安が集中します。
就職そのものに対する恐怖が強く、応募ボタンの前で手が止まる状態が続いている場合は、就職が怖いと感じるときの対処法で、止まる場面ごとの切り分け方を整理しています。
就職の不安で多い「お金」「続けられるか」「周囲の目」の扱い方
相談の場で挙がりやすい不安は、おおむねこの3つに分かれます。それぞれ性質が違うので、同じやり方では減りません。
お金の不安は、金額よりも時期を確認する
お金の不安は、月収がいくらになるかよりも、いつ入ってくるかで大きくなることがあります。
給与の締め日と支払日は企業によって決め方が違います。入社日が締め日の直後だった場合、最初の給与を受け取るまでに1か月以上空くことがあります。内定を受けるかどうかを決める前に締め日と支払日を確認し、その期間の生活費を見積もっておくと、入社直後に慌てずにすみます。
アルバイトを続けながら就職活動をしている場合、シフトを減らす時期と初回給与の時期が重なると、収入が一時的に落ち込みます。長い目で見た収入の見通しについては、フリーターを続けた場合に何が変わるかで、収入の安定性という観点から整理しています。
「続けられるか」の不安は、辞めるときの想定を先に作る
続けられるかどうかは、入社前には確かめきれません。確かめられないものを確かめようとする代わりに、合わなかった場合にどうするかを先に決めておく方が、気持ちは落ち着きやすくなります。
具体的には、「3か月たっても仕事の内容に慣れる見込みが立たなければ、誰に相談するか」を決めておきます。相談先は、職場の上司でも、公的な就職相談窓口でも構いません。逃げ道を用意することと、やる気がないことは別の話です。
周囲の目の不安は、誰の目かを特定する
周囲にどう見られるかという不安は、対象が曖昧なまま大きくなりやすい種類の不安です。家族なのか、昔の同級生なのか、まだ会っていない面接官なのかで、対処はまったく変わります。
特定してみると、実際には誰も具体的には思い浮かばない場合もあります。その場合は、判断軸3でいう「自分が決められないこと」に分類して、応募先と期限の検討に戻ってください。
そもそも正社員という働き方自体に気が進まない場合は、正社員になりたくないと感じるときの考え方で、雇用形態そのものへの抵抗と、働き方の条件への抵抗を分けて整理しています。
就職の不安をめぐるよくある誤解
誤解1:不安がなくなってから動いたほうがいい
準備してから動くという考え方は、他の場面では有効です。ただ、就職の不安には、応募しないと情報が入ってこないために消えないものが含まれます。
求人票を読んでいるだけでは、面接でどんなことを聞かれるかは分かりません。情報が入らないまま時間が過ぎると、不安は小さくならずに、年齢や空白期間という別の心配が足されていきます。
誤解2:不安が大きいのは、その仕事が自分に向いていないからだ
不安の大きさは、その仕事が合っているかどうかとは別の要素で決まることがあります。はじめて応募する職種であれば、合っているかどうかに関係なく、情報が少ない分だけ不安は大きくなります。
向き不向きの判断材料にするなら、不安の大きさではなく、その仕事の説明を読んだときに内容を具体的に想像できるかどうかを見てください。
誤解3:一度就職したら、合わなくても続けるしかない
そう考えると、1社目の選択にすべてがかかっているように感じられ、応募そのものが重くなります。
実際には、入社後に合わないと分かった場合の選択肢は一つではありません。配置転換を相談する、職種を変えて再度転職する、在籍しながら次を探すといった進め方があります。選択肢があることを知っておくだけでも、応募前の重さは変わります。
就職への不安が続いて動けないときの確認手順
不安を分類したうえで、実際に手を動かす順番です。所要時間の目安をつけています。
ステップ1:不安を書き出す(15分)
頭の中にあるものを、箇条書きで紙かメモアプリに書き出します。文章として整える必要はありません。「お金」「続くか」「親」のような単語でも構いません。数は10個を目安にしてください。
ステップ2:3つに分類する(10分)
書き出した項目の横に、次の記号をつけます。
| 記号 | 分類 | 次にやること |
|---|---|---|
| A | 調べれば答えが出る | 確認する手段と時期を決める |
| B | 働いてみないと分からない | 合わなかったときの対応を1つ決める |
| C | 自分では決められない | 応募先と期限の検討に戻す |
分類に迷った項目は、いったんAに入れてください。確認してみて答えが出なければ、そのときBかCに移せば済みます。
ステップ3:Aの項目を1つだけ確認する(30分)
Aに分類した項目のうち、一番気になるものを1つ選び、確認します。求人票を読み直す、企業のサイトで募集要項を見る、ハローワークなどの公的な就職相談窓口で聞くといった方法があります。
一度に全部を確認しようとしないでください。1つ確認して不安が実際に小さくなるかどうかを見るのが、このステップの目的です。
ステップ4:応募の本数と期限を決める(15分)
最後に、いつまでに何社応募するかを決めます。数字は小さくて構いません。「今月中に2社」で十分です。
決めた内容は、ステップ1で書き出したメモの最後に書き添えておいてください。次に不安が強くなったときに、同じことを一から考え直さずにすみます。
なお、不安が強く、一人で考え続けるのがつらいと感じる場合は、ハローワークや自治体の就職相談窓口など、無料で相談できる場を使うことも検討してみてください。就職活動の進め方そのものを相談できます。
まとめ
就職への不安は、消してから動くものではなく、分けてから動くものとして扱うと進めやすくなります。
- 不安を「調べれば答えが出る」「働いてみないと分からない」「自分では決められない」の3つに分ける
- 調べれば答えが出るものは、確認するタイミングを応募前・面接時・内定後に割り振る
- 働いてみないと分からないものは、合わなかった場合の対応を先に決めておく
- 自分では決められないものは、応募先の数と期限という決められる範囲に戻す
不安の総量を減らすのではなく、不安の置き場所を決めることが、次の一手につながります。
自分の経験や希望から、どの程度の条件で求人を探せるのかを一度整理しておくと、不安の中身がさらに絞り込めます。無料の診断ツールをお試しください。
よくある質問
Q.面接で「何か不安なことはありますか」と聞かれたら、正直に答えてもよいですか
不安をそのまま述べるよりも、確認したい事項として具体的に聞く形にすると受け取られ方が変わります。たとえば「入社後の教育はどのような流れで進みますか」「残業が多くなる時期はありますか」といった聞き方です。働くうえで知っておきたいことを確認する姿勢として伝わりやすくなります。
Q.内定を承諾したあとに不安が強くなった場合、入社日を遅らせてもらうことはできますか
相談すること自体は可能です。ただし企業側にも受け入れの準備があるため、調整できるかどうかは状況によります。希望する場合は、理由と希望する日程を具体的に添えて、できるだけ早い段階で採用担当者に連絡してください。連絡が遅くなるほど調整の余地は狭くなります。
Q.就職活動をしていることを家族に伝えたほうがよいですか
伝えなければならないものではありません。ただ、面接の日程調整や入社日前後の生活の変化で、同居している方に影響が出る場面はあります。決めかねている場合は、すべてを話すのではなく、応募を始めたという事実だけを先に共有する方法もあります。
Q.不安が強くて求人を見ることもつらいときは、どうすればよいですか
求人を探す作業と、自分の経験を整理する作業は分けられます。つらいときは求人検索をいったん止めて、これまでのアルバイトや学校での経験を書き出すだけの日を作るという進め方があります。一人で抱え込まず、ハローワークや自治体の就職相談窓口で話を聞いてもらうこともできます。