「正社員になりたい。でも、フリーターという経歴で本当になれるのだろうか」——このような不安を抱えながら、なかなか一歩を踏み出せないでいる方は少なくありません。

フリーターから正社員を目指すことは可能です。ただし「誰でも簡単になれる」とも「ほぼ不可能」とも言えない、正直な難易度があります。この記事では、公的統計と現役エージェントの視点から、フリーターの就職実態・企業の採用姿勢・年齢別の現実・正社員転換の3つのルートを網羅的に整理します。

※PR

JAIC就職カレッジ
木村 誠

この記事の著者

木村 誠

人材紹介会社 営業マネージャー/転職の教科書 編集長

転職支援実績 1,500名以上

詳細 →

日本のフリーターの実態

フリーター人口の推移

総務省統計局「労働力調査(詳細集計)年平均結果」によると、2025年における15〜34歳のフリーター数は139万人で、前年比3万人増加しています。

ピーク時の2003年(平成15年)に217万人に達したフリーター数は、その後長期的に減少傾向にあります。2025年の139万人はピーク比で約36%の減少であり、「フリーターが増え続けている」という通説は最新データとは一致しません。

フリーターの定義(統計上の扱い)

総務省統計局「統計FAQ フリーターの人数」によると、労働力調査では次のように定義されています。

「労働力調査では、若年のパート・アルバイト及びその希望者のことを、便宜上『フリーター』としている。」

(出典:総務省統計局「統計FAQ フリーターの人数」)

詳細な定義は次の通りです。年齢15〜34歳で、男性は卒業者、女性は卒業者で未婚の者のうち、①雇用者のうち呼称がパート・アルバイトの者、②完全失業者のうち探している仕事がパート・アルバイトの者、③非労働力人口で家事も通学もしていないその他の者のうち就業内定しておらず希望する仕事がパート・アルバイトの者、が対象です。

統計上の注意点:調査によって定義が異なります。労働力調査では15〜34歳ですが、厚生労働省の平成30年若年者雇用実態調査ではフリーターを15〜44歳で調査しています。以下で引用するデータがどちらの定義に基づくかを都度確認してください。

ピーク時からの変化

フリーター人口が217万人(2003年)から139万人(2025年)に減少した背景には、労働市場の状況変化があります。ただし人数の減少は「フリーターから正社員への転換が容易になった」ことを直接示すものではなく、若年人口の減少や就業形態の変化など複合的な要因があります。

企業はフリーターをどう見ているか

フリーターを正社員採用した企業の割合

厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査 フリーターについて」(フリーターの定義:15〜44歳)では次のデータが示されています。

「『正社員を採用する予定があった事業所』の求人にフリーターからの応募があった事業所の割合は25.4%で、実際にフリーターを正社員として『採用した』事業所の割合は18.5%となっている。」

(出典:厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査 フリーターについて」)

この数字を正確に解釈することが重要です。

  • 正社員採用予定があった事業所:49.9%
  • そのうちフリーターからの応募があった事業所:25.4%
  • 実際にフリーターを正社員として採用した事業所:18.5%

重要な解釈の注意点:18.5%は「全事業所のうちフリーターを採用した割合」であり、「フリーターが応募したときの採用成功率」ではありません。採用を前提とした積極的な活動をしたフリーターが、実際に採用に至った確率を示す数字ではありません。

採用された年齢層の内訳

同調査では、フリーターを採用した18.5%の事業所の年齢内訳が示されています。

採用した年齢層事業所割合
15〜34歳のみ10.0%
35〜44歳のみ2.1%
15〜34歳及び35〜44歳の両方6.4%

フリーターを採用した事業所のうち、15〜34歳を採用したのが10.0%+両方が6.4%で計16.4%が35歳未満のフリーターを採用しています。年齢が上がるほど採用実績の割合が下がっていることが確認できます。

この数字が意味すること

「正社員採用事業所の18.5%しかフリーターを採用していない」という解釈は、悲観的に過ぎます。多くの事業所ではそもそも「フリーターからの応募がなかった(25.4%のみが応募を受けた)」という実態もあります。積極的に準備して応募したフリーターが選考を通過した確率を示すデータではないことを踏まえた上で、「門戸が完全に閉じているわけではない」という事実として理解することが適切です。

新卒で就職先が決まらなかった既卒からの就職活動の進め方は、既卒の就活の進め方で詳しく解説しています。

正社員採用の門戸が広い企業の条件

企業規模による採用実態の差

厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」では、若年労働者を正社員として採用した事業所の割合が企業規模別に示されています。

企業規模正社員採用があった事業所割合
1,000人以上96.3%
300〜999人87.6%
100〜299人76.8%
30〜99人56.5%
5〜29人27.9%

注意:このデータは若年労働者全体の正社員採用状況であり、フリーター限定の数字ではありません。ただし大企業ほど若年者採用に積極的であることの傾向として参考になります。

大企業(1,000人以上)では96.3%が正社員として若年労働者を採用しており、5〜29人の小規模事業所(27.9%)と大きな差があります。フリーターが正社員を目指す場合、採用実績のある規模の企業を優先することが現実的な戦略の一つです。

産業による採用実態の差

同調査の産業別データでは、正社員採用があった事業所割合として次の傾向が示されています。

産業正社員採用があった事業所割合
金融業・保険業56.2%
情報通信業53.1%
学術研究・専門技術サービス業43.7%
全産業(参考)33.4%

金融・保険・情報通信業では正社員採用を行った事業所割合が高い傾向があります。ただしこれらの業種での採用は一定のスキル・資格を求めるケースも多く、フリーターが直接転換できるかどうかは職種によって変わります。

狙うべき企業の特徴

現場観察として、木村誠が転職支援で関わった中でフリーターの正社員採用が成立しやすい企業の特徴として次の傾向があります。

  • 採用基準がスキルや経験より人物重視の企業:接客・サービス業の一部
  • 慢性的な人材不足がある業種:介護・医療補助・建設・製造の一部
  • 若手育成に積極的な企業:研修制度が整備されている中堅企業
  • 正社員登用制度が実績ある企業:非正規から正社員への実績を公開している企業

正社員転換の3つのルート

ルート1:現在の勤務先で正社員登用

現在のアルバイト・パート先に正社員登用制度がある場合、最もハードルが低いルートになります。採用担当者がすでに「この人材」を知っているため、職務経歴書・面接で初めて評価される外部応募よりリスクが少ない点が強みです。

確認すべき点:

  • 就業規則に正社員登用制度の記載があるか
  • 過去に実際に登用された実績があるか(「制度はあるが実績がない」会社は要注意)
  • 上司や店長に「正社員を目指している」と意思表示しているか

アルバイト先での正社員登用を軸に進める方法は、バイトから正社員になる方法で詳しく解説しています。

ルート2:転職・就職活動で正社員採用

外部の企業に正社員として応募する転職・就職活動のルートです。転職サイト・求人検索サービス・転職エージェントを活用して応募先を確保します。20代の転職完全ガイドでは全般的な転職戦略も解説しています。

フリーターが外部応募で正社員転換を目指す場合の現実的な注意点:

  • 「未経験歓迎」「第二新卒歓迎」の求人が主要な対象:これらは正社員経験がなくても応募できる枠
  • 職種の絞り込みが重要:「どの職種でも良い」という状態での就活は通過率が低い
  • 複数の転職サービスを並行活用:求人の偏りを防ぐため2〜3社を使い分ける

第二新卒の転職完全ガイドでも関連する就職戦略を解説しています。

ルート3:公的支援機関の活用

厚生労働省「わかものハローワーク」は、正社員就職を目指すおおむね35歳未満の若者を対象に、担当者制でマンツーマン支援を実施する公的機関です。

主なサービス内容:

  • 担当者制の個別就労相談
  • 履歴書・職務経歴書の添削
  • 模擬面接・面接対策
  • 正社員求人の紹介(無料)

民間の転職エージェントと異なり、フリーターや就職活動に不慣れな人を対象とした支援に特化しているため、「どこから始めればいいか分からない」という段階の人に向いています。

ポイントとして、わかものハローワークは主要都市に設置されており、一般のハローワークとは別に、より専門的なサービスを提供しています。設置箇所は変動するため、最新情報は公式サイトで確認することをおすすめします。

フリーター期間が長い場合の考え方

期間の長さが与える影響

フリーター期間が長くなるほど、選考で問われる機会が増えます。特に3年・5年・10年という区切りを超えると「なぜ長期間正社員にならなかったのか」という質問への準備が不可欠になります。

ただし期間の長さ自体が「採用不可」を意味するわけではありません。30代で非正規から正社員になる方法でも詳しく解説していますが、重要なのは「期間の長さ」より「何が変わって今動いているのか」という説明の質です。

期間より重視される要素

木村誠が現場で担当したフリーターからの正社員転換相談では、採用担当者が実際に気にするポイントとして「なぜフリーターだったのか」より「なぜ今正社員を目指すのか」の方が重要視される傾向があります。

採用担当者が確認したいこと:

  • 今後の継続就業意欲:入社後すぐに辞めないか
  • 職種への理解:なぜこの仕事をしたいのか
  • 自己分析の深さ:自分の強みを説明できるか

期間が長い場合でも、フリーター中の経験(担当した業務・身につけたスキル・職場での評価)を整理することで、面接での評価が変わります。

ブランクの説明の仕方

フリーター期間について「自己都合で正社員を避けていた」という説明は採用担当者の懸念を高めます。一方、「〇〇の理由があってパートを選んでいたが、今は状況が変わり正社員として腰を据えたい」という説明は一定の理解を得やすくなります。

ブランクの説明で重要な3点:

  1. 事実ベースで話す:誇張や隠蔽は後で発覚する
  2. 前向きな文脈に変換する:「逃げていた」より「〇〇のために選んだ」
  3. 今後の意思を明確にする:「正社員として長期的に貢献したい」という具体的な意志

就業していない期間が長い状態から就職を目指す場合の進め方は、ニートから就職する方法も参考にしてください。

年齢別に見た正社員転換の現実

20代前半(20〜24歳)

最も選択肢が広い年齢帯です。企業の多くがポテンシャル採用を対象にしており、フリーター期間が短ければ「第二新卒」に近い評価を受けることもあります。「未経験歓迎」求人のターゲット層であり、業種・職種の幅も広い。

この時期の注意点:「まだ若いからいつでも動ける」という先送りが、動けるタイミングを逃す原因になります。20代前半のうちに一歩を踏み出すことが選択肢の幅を最大化します。

大学を中退してフリーターを経て就職を目指す場合の進め方は、大学中退から就職する方法で詳しく解説しています。

20代後半(25〜29歳)

ポテンシャル採用の対象としての期待が下がり始める一方、フリーター期間に積み上げた実務経験が評価される機会が増えます。「なぜ今まで正社員でなかったのか」という質問への準備が必要になってくる年齢帯です。

この時期の有効な戦略:職種を絞り込み、フリーター期間の経験が活きる方向性を明確にする。「何でもします」より「〇〇の分野でキャリアを築きたい」という軸を持つことが通過率を上げます。

30代以降

難易度は上がりますが、正社員転換が不可能な年齢ではありません。厚生労働省の調査では35〜44歳のフリーターを採用した事業所も2.1〜6.4%の範囲で存在しています。

30代以降の正社員転換で有効な要素:

  • フリーター期間に専門的なスキルを習得している(特定の資格・技術)
  • 業種・職種の連続性がある(同じ分野でフリーターとして長年経験を積んでいる)
  • 中小企業・業界特化の採用に絞り込んでいる

わかものハローワークの対象(おおむね35歳未満)が過ぎた場合は、一般のハローワークや民間の転職エージェントを活用します。

正社員を目指す具体的なステップ(ケーススタディ)

ステップ1:現在地の把握

木村誠が転職支援で担当した事例として、20代後半の男性(コンビニアルバイト・フリーター歴5年)のケースがあります。「正社員になりたいが、自分に何ができるのか分からない」という状態で相談に来ました。

ヒアリングすると、5年間のアルバイトで夜間責任者・後輩指導・棚卸しの管理を担当しており、実質的に店長補佐に近い業務をこなしていたことが分かりました。「アルバイト」という雇用形態に隠れていた実務経験を掘り起こし、「小売業の実務経験者・後輩指導経験あり」として整理し直したところ、書類選考の通過率が改善しました。

自分が「何ができるか」を整理することが、最初の一歩です。市場価値診断とはを活用して、現状の自分がどう評価されるかを客観的に確認することをおすすめします。

ステップ2:応募先の選定

応募先を選ぶ際の基本的な戦略は次の通りです。

優先する求人の条件:

  • 「未経験歓迎」「第二新卒歓迎」が明記されている
  • 正社員登用実績が記載されている
  • 採用対象年齢が自分の年代をカバーしている

避けるべきパターン:

  • 「即戦力のみ」「正社員経験必須」の求人への無謀な応募
  • 給与条件のみで決めて業務内容を確認しない応募

企業規模では大企業(96.3%が若年正社員採用あり)の方が採用実績は多いですが、中小企業でも人物重視の採用が行われているケースがあります。規模だけで絞り込まず、求人内容と採用方針を確認することが重要です。

ステップ3:書類・面接の準備

正社員経験がない場合の書類作成で最も重要なのは「アルバイトでの経験を実績として具体化すること」です。

職務経歴書の書き方のポイント:

  • 「アルバイトとして勤務した」ではなく「担当業務・規模・成果」を記述する
  • 数値を使う(「週5日・1日8時間・月商〇〇万円の店舗での業務」など)
  • 担当した後輩・スタッフの人数があれば記載する

面接でのポイント:

  • 「なぜフリーターだったのか」への準備(事実ベース・前向きな文脈)
  • 「なぜ今正社員を目指すのか」への準備(具体的な理由)
  • 「この会社でどんなキャリアを築きたいか」への準備(入社後のビジョン)

この3点が整理できていると、採用担当者からの評価が変わります。

職歴がない状態での履歴書の書き方は、職歴なしの履歴書の書き方で詳しく解説しています。

まとめ

フリーターから正社員への転換について、データで整理すると次の通りです。

  • フリーター人口(15〜34歳):2025年139万人。ピーク時(2003年・217万人)から大幅減少
  • 企業の採用実態:正社員採用予定事業所の18.5%がフリーターを採用(平成30年調査・15〜44歳定義)
  • 企業規模による差:大企業ほど若年正社員採用に積極的(1,000人以上96.3% vs 5〜29人27.9%)
  • 年齢による差:20代が最も選択肢が広く、35歳以降は難易度が上がる

「18.5%」という数字は悲観的に見えますが、これは事業所単位の割合であり、フリーターが正社員に転換できない可能性を示すものではありません。準備した人・応募先を戦略的に選んだ人には一定の採用機会が存在します。

正社員転換の成功確率を上げるには、①自分の経験の棚卸し・②応募先の戦略的な選定・③書類と面接の準備、という3ステップを確実に踏むことが重要です。公的支援(わかものハローワーク)の活用も、最初の一歩として有効な選択肢です。


正社員を目指す前に、自分の市場価値を客観的に把握しておきましょう。無料の診断ツールをお試しください。

Q

よくある質問

Q.フリーターから正社員になることはできますか?
A.

できます。厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査」では、正社員採用予定があった事業所のうち18.5%が実際にフリーターを正社員として採用しています。この数字は「事業所の割合」であり、フリーターが応募した場合の採用率とは異なります。ただし年齢・フリーター期間・職種・企業規模によって難易度は大きく変わります。

Q.フリーターから正社員になるのに年齢制限はありますか?
A.

法的な年齢制限はありませんが、年齢が上がるほど難易度は上がります。公的支援の「わかものハローワーク」は概ね35歳未満が対象です。厚生労働省の調査では、フリーターを採用した事業所のうち15〜34歳のみを採用したケースが10.0%・35〜44歳も含む両方が6.4%であり、35歳以降でも採用実績はありますが割合は下がります。20代前半のうちに動き始めることが選択肢の幅を広げます。

Q.フリーター期間が長い場合、正社員になることはできますか?
A.

できますが、期間が長いほど書類選考での説明が必要になります。採用担当者が気にするのは期間の長さそのものより「その期間に何をしていたか」「なぜ正社員を目指すのか」という理由の説明可能性です。フリーター期間中に習得したスキル・勤務先での実績・今回の正社員転換への動機を整理して説明できれば、期間の長さは相対化されます。

Q.フリーターが正社員を目指すとき、転職サービスとわかものハローワークのどちらを使うべきですか?
A.

どちらか一方ではなく、目的に応じて使い分けることが有効です。わかものハローワークは担当者制のマンツーマン支援で、書類添削・面接練習・求人紹介を無料で受けられます。民間の転職エージェントは求人の多様性・非公開求人へのアクセスが強みです。両方を並行して活用することで、情報と支援の両方を最大化できます。

Q.フリーターは正社員採用で不利になりますか?
A.

正社員経験者と比べると一定のハンデはありますが、業種・企業規模・準備の質によって大きく変わります。厚生労働省の調査では、正社員採用をしている大企業(1,000人以上)が96.3%に達しており、採用意欲のある企業は多く存在します。不利になりやすいのは「なぜフリーターだったのか」「なぜ今正社員を目指すのか」の説明が不十分な場合です。この2点を整理して伝えられれば、採用担当者の評価は大きく変わります。