履歴書を書こうとして、職歴欄で手が止まっている人へ。結論から言うと、職歴がなくても学歴・職歴欄を空欄にする必要はありません。厚生労働省の履歴書様式例では学歴と職歴は同じ欄にまとめて書く形式になっており、学歴を古い順に書けば欄は埋まります。そのうえで、職歴の行に「なし」と書くか、アルバイト経験を書くかは、その経験が在学中か卒業後かで判断するのが基本です。ハローワークの応募書類パンフレットでは、卒業後のアルバイト就業は「アルバイト就業であることを明記の上で記載」するものとして扱われています。
この記事では、転職エージェントとして累計1,500名以上の転職支援に関わってきた立場から、職歴なしの人が「なし」と書くべきケースとアルバイトを書くべきケースの判断軸、そのまま使える記入例、職歴欄以外で補う欄の使い方を整理します。
職歴なしの履歴書は「学歴・職歴」欄をどう埋めるか
学歴と職歴は同じ欄に「各別にまとめて」書く
厚生労働省が公開している履歴書様式例では、欄の見出しは「学歴・職歴(各別にまとめて書く)」となっています。学歴と職歴は別々の欄ではなく、一つの欄の中で「学歴」「職歴」と見出しを立てて書き分ける形式です。
つまり職歴がない人でも、この欄には学歴が入ります。「職歴欄が真っ白の履歴書になる」と心配している人は多いのですが、この様式ではそうはなりません。
ハローワークの応募書類の作り方では、学歴の書き方について次のように説明されています。
学歴は、学校への入学及び卒業(修了)の経歴を古い順に記載します。
職歴の行は「なし」か「アルバイト経験」のどちらか
学歴を書き終えたら、行を改めて「職歴」と見出しを書きます。その下に書く内容は、次の2通りです。
- 書ける就業経験がない場合:「なし」と書き、行を改めて右寄せで「以上」と書く
- 卒業後のアルバイト経験がある場合:勤務先と雇用形態を書き、最後に「以上」と書く
締めの「以上」については、同パンフレットに「職歴の記載の最後には「以上」と記載します。」とあります。一方、職歴がまったくない場合に「なし」と書く方法は、パンフレットに明示された記載ではありません。採用の現場で一般的に通用している書き方として扱ってください。
「職歴なし」と書くか、アルバイトを書くかの判断軸
ここがこの記事の中心です。職歴なしの履歴書で迷うのは、多くの場合「アルバイトは職歴に入るのか」という点です。ハローワークのパンフレットは、この点について次のように書いています。
学業期間中のアルバイト就業については通常記載しません。ただし、卒業後のアルバイト就業や、学業期間中のアルバイト就業のうち、就業職務内容が応募先企業の職務内容に関係している場合、責任を与えられた仕事であった場合、ビジネスマナーの基本を習得していることをアピールできるような場合などは、アルバイト就業であることを明記の上で記載します。
この文章から、判断軸を3つに分解できます。
判断軸1:その経験は「在学中」か「卒業後」か
最初に見るのは時期です。在学中のアルバイトは通常書かず、卒業後のアルバイトは書く対象になります。
卒業後にアルバイトで働いてきた期間がある人は、「正社員経験がない=職歴なし」ではありません。この区別をしないまま「なし」と書くと、卒業後の数年間が履歴書上で何もしていない期間に見えてしまいます。実際には働いていたのに、書類上は空白に見える。職歴なしで相談に来る人に、よく見られる取り違えです。
判断軸2:応募先の仕事と関係するか、責任のある仕事だったか
在学中のアルバイトしかない場合でも、次のどれかに当てはまるなら書く余地があります。
- 応募先の職務内容と関係している(例:飲食店のアルバイト経験があり、飲食業の正社員に応募する)
- 責任を与えられた仕事だった(例:新人への指導、シフト作成、売上の締め作業を任されていた)
- ビジネスマナーの基本を身につけたことを示せる(例:電話応対や来客対応を日常的に行っていた)
逆に、どれにも当てはまらない在学中のアルバイトは、職歴欄に書かずに「なし」とするのが自然です。書くかどうかは「書けるか」ではなく「応募先にとって判断材料になるか」で決めてください。
判断軸3:年月をつなげたときに説明がつくか
最後に、学歴の最終行から現在までの年月を並べて確認します。卒業年月の次の行が数年後の日付になっている場合、その間を面接で聞かれる可能性は高いと考えておいた方がよいでしょう。
職歴欄の空白を隠そうとする応募者ほど、面接で追及されたときに説明が崩れやすい傾向があります。アルバイトを書いて年月をつなげられるなら書く。働いていない期間があるなら、履歴書では年月をぼかさず、説明は面接で補う。空白期間の説明の組み立て方は履歴書の空白期間の書き方で詳しく扱っています。
状況別の書き方の比較
| あなたの状況 | 職歴の行に書くこと | 理由 |
|---|---|---|
| 在学中のアルバイトのみ(応募先と無関係) | 「なし」→「以上」 | 学業期間中のアルバイトは通常記載しない |
| 在学中のアルバイトで、応募職種と関係する・責任ある立場だった | 勤務先(アルバイト)→「以上」 | パンフレットで記載する場合として挙げられている |
| 卒業後にアルバイトで働いていた(現在も継続) | 勤務先(アルバイト)→「現在に至る」→「以上」 | 卒業後のアルバイト就業は記載の対象 |
| 卒業後にアルバイトを複数経験した | 古い順に記載。短期のものが多く欄に収まらない場合は、期間の長いもの・応募先と関係するものを優先 | 年月をつなげて説明できる形にする |
| 卒業後に一度も働いていない | 「なし」→「以上」 | 期間の説明は面接・別欄で補う |
職歴がない人の職歴欄の記入例
実際の書き方を、ケース別に示します。年月は「令和○年○月」のように、学歴と同じ暦で統一してください。
ケース1:書ける就業経験がない場合
学歴
令和○年○月 ○○県立○○高等学校 入学
令和○年○月 ○○県立○○高等学校 卒業
令和○年○月 ○○大学○○学部○○学科 入学
令和○年○月 ○○大学○○学部○○学科 卒業
職歴
なし
以上
ケース2:卒業後のアルバイトを書く場合(在職中)
パンフレットでは、正職員以外の雇用形態について次のように説明されています。
「雇用形態」(正職員以外の派遣社員、契約社員、アルバイト、パート等の場合は( )書きで記載)
在職中の場合は、職歴の最後の行に「現在に至る」と書きます。
職歴
令和○年○月 株式会社○○ 入社(アルバイト)
○○店にて接客・レジ・発注業務を担当
現在に至る
以上
担当業務を1行添えておくと、同じ「アルバイト」でも何をしていたかが伝わります。ここに書くのは1行の業務名までにとどめ、具体的な工夫や成果は後述する別欄に回してください。
ケース3:アルバイトを辞めて、現在は働いていない場合
職歴
令和○年○月 株式会社○○ 入社(アルバイト)
令和○年○月 株式会社○○ 退社
以上
退職後の行でも、どの勤務先の話かが分かるよう会社名を省略せずに書きます。正社員と誤解される書き方にならないよう、入社の行には雇用形態を( )で明記してください。
よくある誤解
誤解1:「正社員経験がなければ、職歴欄は『なし』と書くしかない」
「職歴=正社員としての経歴」というイメージが強いため、こう考える人は少なくありません。実際には、上で見たとおり卒業後のアルバイト就業は、雇用形態を明記したうえで記載するものとして扱われています。「なし」と書く前に、卒業後に働いた期間がないかを確認してください。
誤解2:「アルバイトを職歴に書くと、経歴を盛っていると思われる」
問題になるのは、アルバイトを書くことではなく、アルバイトであることを伏せて正社員のように見せることです。(アルバイト)と明記しておけば、読み手は雇用形態を正しく理解したうえで経験を評価できます。
誤解3:「職歴が少ない分、職歴欄に業務内容を詳しく書き込むべき」
職歴欄は年月と経歴を並べる欄です。1社の業務内容を何行にもわたって書くと、かえって読みにくくなります。伝えたい内容は、次の章で説明する欄に書き分けてください。
職歴なしの履歴書で差が出る「職歴欄以外」の欄
職歴欄に書ける内容が少ない人ほど、他の欄の使い方で差が出ます。厚生労働省の様式例には、学歴・職歴欄のほかに次の欄があります。
| 欄 | 様式例の記載 | 職歴なしの人の使い方 |
|---|---|---|
| 免許・資格 | 免許・資格 | 取得済みのものを正式名称で。勉強中の資格は「○○取得に向けて勉強中」と書く人もいる |
| 志望動機等の欄 | 「志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど」 | アルバイトで担当した業務と、応募先の仕事との接点を書く |
| 本人希望記入欄 | 「特に給料・職種・勤務時間・勤務地・その他についての希望などがあれば記入」 | 希望職種が複数ある場合は職種を明記。条件面の希望は必要なものに絞る |
特に「志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど」の欄は、職歴なしの人にとって最も大事な欄です。「好きな学科」が例示されているとおり、学校で学んだ内容も書く材料になります。
書くときは、次の順で組み立てると整理しやすくなります。
- 応募先の仕事で求められていることを、求人票から1つ選ぶ
- アルバイト・学業・自主的な学習の中から、それに近い経験を1つ選ぶ
- その経験で「何を任され、どう対応したか」を1〜2文で書く
- 入社後にその経験をどう使うかを1文で書く
「何でもやります」と書く応募者は、意欲の高さとは逆に評価されにくい場面があります。どの職種で何を積み上げたいかを先に決めている人の方が、選考は進みやすい傾向があります。
なお、応募先から職務経歴書の提出も求められた場合は、アルバイト経験の詳細はそちらに書く方が読みやすくなります。書き方は職歴なしの場合の職務経歴書の作り方を参考にしてください。
職歴なしの履歴書を出す前のチェックリスト
提出前に、次の順で確認してください。
- 学歴は古い順に、入学と卒業の両方を書いたか
- 職歴の見出しを立て、「なし」またはアルバイト経験を書いたか
- 卒業後のアルバイトを「なし」で済ませていないか(判断軸1)
- アルバイトを書いた行に(アルバイト)と明記したか
- 在職中なら「現在に至る」、最後の行に「以上」を書いたか
- 卒業年月から現在まで、年月を並べて説明がつくか(判断軸3)
- 志望の動機・アピールポイント欄に、応募先との接点を書いたか
- 年号(和暦・西暦)が全欄で統一されているか
書式を整えることは、選考を通過する条件ではありません。ただ、書式の迷いで応募が遅れることや、書き方の誤解で経験を伝え損ねることは、自分で防げる部分です。フリーターから正社員を目指す全体の流れは、フリーターから正社員への就職ガイドで整理しています。
まとめ
- 厚生労働省の履歴書様式例では、学歴・職歴は「各別にまとめて書く」一つの欄。職歴がなくても学歴で欄は埋まる
- 「なし」と書くかアルバイトを書くかは、在学中か卒業後かで判断する。卒業後のアルバイト就業は、アルバイトであることを明記して記載する
- 在学中のアルバイトでも、応募先の職務と関係する・責任ある仕事だった場合は書く余地がある
- 職歴欄には年月と経歴だけを書き、伝えたい内容は「志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど」の欄に回す
- 年月を並べて説明がつくかを最後に確認し、空白がある場合は面接で補う準備をする
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よくある質問
Q.同じ時期にアルバイトを掛け持ちしていた場合、職歴欄にはどう書けばよいですか?
職歴欄は年月順に経歴を並べる欄なので、掛け持ちしていた場合もそれぞれの勤務先を入社した年月の順に記載し、アルバイトであることを括弧書きで明記します。欄に収まらない場合は、応募先の職務と関係するものや期間の長いものを優先し、書かなかった勤務先については面接で聞かれたときに説明できるよう整理しておくと、話が食い違いにくくなります。
Q.職歴なしの場合、学歴はどの学校から書き始めればよいですか?
ハローワークの応募書類パンフレットでは、学歴は学校への入学及び卒業(修了)の経歴を古い順に記載するとされていますが、どの学校から書き始めるかは示されていません。応募先から指定があればそれに従ってください。指定がない場合、職歴なしの人は欄の行数に余裕があることが多いため、高等学校の入学から書き始めると、卒業後から現在までの流れが読み手に伝わりやすくなります。
Q.派遣社員や契約社員として働いた経験しかない場合も「職歴なし」と書くのですか?
「なし」と書く必要はありません。ハローワークの応募書類パンフレットでは、正職員以外の派遣社員、契約社員、アルバイト、パート等の雇用形態は括弧書きで記載する方法が示されています。派遣で働いていた場合は、雇用契約を結んだ派遣元と実際に働いた派遣先の両方が分かるように書くと、読み手が経歴を把握しやすくなります。
Q.家業の手伝いをしていた期間は職歴に書けますか?
ハローワークの応募書類パンフレットでは、職歴は勤務先への入社及び退社の経歴を記載することが基本とされています。給与を受け取って雇用されていた場合は勤務先として記載する形になります。雇用関係のない手伝いだった場合は、職歴欄ではなく「志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど」の欄で担当していた作業を具体的に説明する方が、読み手に誤解を与えにくくなります。
Q.職歴なしと書いた履歴書で面接に進んだ場合、どんなことを聞かれやすいですか?
傾向として、卒業後の期間をどう過ごしていたか、なぜ今のタイミングで正社員を目指すのか、入社後にどんな仕事を身につけたいか、の3点を聞かれる場面が多くあります。履歴書に書いた年月と面接での説明が一致しているかも見られるため、提出前に自分の書いた年月を読み返し、それぞれの期間について一言で説明できるようにしておくと落ち着いて答えやすくなります。