専門学校を中退して、これから就職活動を始めようとしている方へ。
退学を決めた直後は、「専門卒として扱ってもらえるのか」「学んでいた分野に戻るしかないのか」「学校に戻ったほうがよいのか」といった判断が同時に押し寄せます。どれも決まらないまま求人サイトを開くと、応募できそうな求人は目に入るのに手が止まる、という状態になりやすくなります。
この記事では、専門学校中退からの就職を、最初に決めるべきことから順に整理します。結論を先に書くと、進め方を決めるのは学歴の扱いではなく、中退した分野に戻るか、離れるかという一点です。ここが決まると、見るべき求人と、面接で用意しておく説明が同時に絞られます。
以下、判断軸、大学中退との違い、よくある誤解、着手の手順の順に進みます。
専門学校中退からの就職は「分野に戻るか離れるか」を先に決める
結論から言うと、専門学校中退からの就職活動で最初に決めるのは、学歴欄の書き方ではなく進む方向です。
求人を紹介する側から見ると、専門学校の学科名は、その人が目指していた職種を推測する手がかりになります。大学の学部名より職種に近い名前が付いていることが多いため、学科名を見た時点で「この分野に進むつもりだったのだろう」という前提を持たれるところから選考が始まります。だからこそ、分野に戻るのか離れるのかを自分で決めていない状態は、面接で最も答えにくい質問を残したままになります。
もう一つ、先に押さえておきたいのが応募資格の読み方です。卒業していない場合、募集要項の「専門卒以上」に自分が該当するかは応募先の判断になります。そのため、求人を探す段階では「学歴不問」「高卒以上」と書かれた求人を軸にしたほうが、応募してから対象外と分かる手戻りが減ります。
どうしても応募したい求人の応募資格が「専門卒以上」だけだった場合は、次の形で採用窓口に確認してください。
- 学校名・学科名・入学年月・中途退学年月を、年月の並びで1行にまとめる
- そのうえで「この在籍状況が応募資格に該当するか」を聞く
- 該当しないと言われた場合に、他に受けられる枠があるかを合わせて聞く
自分で「おそらく該当しないだろう」と判断して応募を見送るより、この3点を聞いたほうが、同じ会社の別の募集につながる場合があります。
専門学校中退の就職で先に決める3つの判断軸
方向を決めるために使う判断軸は3つです。順番に決めていくと、求人の絞り込みと面接の準備が同時に進みます。
判断軸1:辞めた理由が「分野への向き不向き」か「それ以外の事情」か
まず、学校を離れた理由を2つに分けてください。
- その分野の内容そのものが合わなかった
- 学費・通学・家庭の事情など、分野とは別のところに理由があった
この切り分けで、面接での説明の順序が変わります。
| 辞めた理由 | 同じ分野に応募する場合 | 別の分野に応募する場合 |
|---|---|---|
| 分野が合わなかった | 同分野への応募は説明が組みにくくなる。隣接分野を検討する | 「合わなかった点」と「新しい分野を選んだ基準」を分けて話す |
| 分野以外の事情 | 「離れた理由が分野ではなかったこと」を先に話す | 分野を変えた理由を別に用意する必要がある |
分野が合わなかったことを理由にしながら同じ分野へ応募すると、面接で「また同じことにならないか」という点に質問が集中しやすくなります。この場合は、分野を完全に変えるより、工程や扱う対象が一部重なる隣接分野から探したほうが、説明の材料が残ります。
判断軸2:求人は学科名ではなく「使っていた道具・ソフト・工程」で探す
専門学校中退の方の就職活動で、求人が見つからないと感じる原因の多くは、探し方にあります。学科名で検索しても、求人票には学科名が書かれていないため該当が出てきません。
そこで、次の手順に切り替えてください。
- 在籍中に実際に触れた機器名・ソフト名・工程名・作業名を3〜5個書き出す
- その語で求人を検索する
- 出てきた求人の仕事内容に、書き出した語がいくつ出てくるかを数える
書き出した語が2つ以上出てくる求人は、未経験歓迎の表記があっても、面接で話せる材料がある求人です。逆に、学科名は近いのに書き出した語が1つも出てこない求人は、分野が同じでも業務が違う可能性があります。
判断軸3:その職に就くこと自体に卒業が条件になっていないかを先に確認する
分野によっては、その仕事に就くこと自体に、養成課程の修了が条件になっている場合があります。ここを曖昧にしたまま応募を続けると、選考の終盤で分かることになります。
確認先は2つあります。
- 応募先:募集要項の応募資格と、入社後に提出が必要な書類を確認する
- 在籍していた学校の窓口:現在の在籍状況で何が足りないのかを確認する
学校の窓口に聞くときは、「卒業できますか」ではなく「今の状態から、何がどれだけ足りないのか」を聞いてください。再入学なのか、編入なのか、別の経路があるのかは、その回答によって変わります。制度の説明をネット上の記事から推測するより、在籍していた学校に直接聞くのが最も早い確認方法です。
専門学校中退と大学中退で、就職活動の進め方はどこが違うか
同じ「中退」でも、準備する内容は変わります。
| 項目 | 専門学校中退 | 大学中退 |
|---|---|---|
| 学科名から読み取られること | 目指していた職種が推測される | 学問分野が推測される |
| 分野を変える場合の説明 | 職種の選び直しとして説明が必要になる | 分野と職種が元から離れている場合もある |
| 在籍中に話せる材料 | 実習・演習で扱った作業が材料になりやすい | 専攻の内容を職種の言葉に置き換える作業が必要 |
| 年数要件の確認 | 課程の年数が学科ごとに異なるため、年月を並べて確認する | 在籍年数から学年が推測されやすい |
専門学校中退のほうが不利、という見方をされることがありますが、就職活動の準備という観点では、材料が多いのは実習がある学科のほうです。扱った作業がそのまま求人票の仕事内容と重なる場合があるためです。
中退からの就職全体の流れを広く確認したい場合は大学中退からの就職の進め方を、大学院を離れた場合の扱いの違いは大学院中退からの就職を参照してください。
専門学校中退の就職でよくある誤解
退学直後に持ちやすい前提を4つ取り上げます。どれも思い込みというより、情報が足りない段階では自然に行き着く見方です。
誤解1:中退した分野に戻るしかない
学科を選んだ時点で進路が決まっていた感覚が残るため、そう考えやすくなります。ただし応募の入口は、同じ分野、工程が一部重なる隣接分野、まったく別の分野の3つがあり、それぞれ準備する材料が違うだけです。別の分野に進む場合、学科の内容を無理に関連づける必要はありません。
誤解2:在籍が短いと、同年代から遅れている
同じ年に入学した人が在籍を続けている以上、比較の対象が目に入りやすい状況です。ただし募集要項が年数や年齢について何を書いているかは、求人ごとに異なります。確認すべきは周囲との比較ではなく、応募したい求人の記載です。年数の起点が何になっているか分からない場合は、判断軸1で挙げた形で採用窓口に聞いてください。
誤解3:資格を取ってから応募したほうがよい
分野に関わる資格の学習が途中で止まっている場合、先に取り直してから動きたくなります。ただし資格の勉強を進めている間も在籍していない期間は続きます。転職エージェントとして10年目になりますが、資格の取得を待つ人より、学習中であることを選考の中で伝えながら応募を進めた人のほうが、選択肢を広く保てている場面を多く見ています。
誤解4:学科と違う職種の面接では、専門学校の話はしない方がよい
分野が違うのだから材料にならない、と考えがちな部分です。ただし面接で見られているのは分野の一致ではなく、何を基準に選び、どう進めたかです。学科を選んだときの基準、在籍中に続けた作業、離れる判断をした経緯は、どの職種の面接でも説明の材料になります。
専門学校中退後の進み方を比較する
方向ごとに、何を先に確認し、何を前に出すかが変わります。
| 進み方 | 向いているケース | 先に確認すること | 説明で前に出すこと |
|---|---|---|---|
| 同じ分野に就職する | 分野以外の事情で離れた | その職に卒業が条件になっていないか | 離れた理由が分野ではないこと |
| 隣接する分野に就職する | 分野の一部は続けたい | 求人票の仕事内容に、扱った作業が出てくるか | 重なる作業と、変えた部分 |
| 別の分野に就職する | 分野そのものが合わなかった | 学歴不問・高卒以上の求人の範囲 | 新しい分野を選んだ基準 |
| 学校に戻る(再入学・編入) | その職に卒業が条件になっている | 不足している要件の中身と期間 | 戻る目的と、その後の進路 |
4つのうち2つに絞ってから動くほうが、書類と面接の準備が分散しません。同時に4つを並行させると、求人ごとに説明を作り直すことになります。
専門学校中退から就職活動を始める手順
ここまでの判断軸を、着手の順に並べます。
ステップ1:在籍期間を年月で1行に並べる
高校の卒業年月、専門学校の入学年月、中途退学年月を並べて書きます。退学後に働いていた期間があれば、その年月も続けて書いてください。ここで空白になっている期間が、面接で聞かれる箇所です。先に書き出しておくと、質問されたときに月単位で答えられます。
ステップ2:在籍中に触れたものを3〜5個書き出す
機器名、ソフト名、作業名、工程名を具体的な語で書きます。「実習」ではなく、実習で何を使って何をしたかの単位まで下げてください。この語が、そのまま求人検索の語になります。
ステップ3:辞めた理由を「分野」と「それ以外」に分ける
判断軸1の切り分けです。両方が混ざっている場合は、応募先に伝える順序を決めるために、どちらが先だったかを自分の中で整理しておきます。
ステップ4:応募資格の読み方を決める
「学歴不問」「高卒以上」の求人を基本の範囲にします。応募したい求人が「専門卒以上」だけの場合は、年月を並べて採用窓口に確認します。
ステップ5:同じ分野を残すなら、学校の窓口に不足要件を確認する
判断軸3の確認です。回答が出るまでに時間がかかる場合があるため、他の準備と並行して早めに動いてください。
書類の作成に進む段階では、学歴欄の表記や実習の扱いを個別に確認することになります。その手順は専門学校中退の履歴書の書き方にまとめています。
まとめ
専門学校中退からの就職は、学歴の扱いを先に悩むより、進む方向を決めるほうが早く進みます。
- 最初に決めるのは、中退した分野に戻るか離れるか
- 辞めた理由を「分野」と「それ以外」に分けると、面接の説明の順序が決まる
- 求人は学科名ではなく、在籍中に触れた道具・ソフト・工程の語で探す
- その職に卒業が条件になっていないかは、応募先と学校の両方に確認する
- 応募資格は「学歴不問」「高卒以上」を基本の範囲にし、迷う求人は採用窓口に聞く
累計1,500名以上の転職支援に関わってきた中で見てきたのは、学校を離れた理由そのものより、離れたあとに何を基準に次を選んだかを言葉にできている人のほうが、選考が進みやすい傾向があるということです。説明の材料は、在籍していた期間の中にあります。
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よくある質問
Q.退学の手続きがまだ終わっていない時期から、就職活動を始めてよいのでしょうか。
応募そのものは進められますが、募集の対象が在学中の学生なのか、在学していない人なのかは求人ごとに異なります。学籍がどの時点でなくなるのかを学校の窓口で確認し、その日付を基準に応募先の募集対象と照らし合わせてください。入社日が決まる段階では在籍状況の書類を求められる場合があるため、手続きの完了予定日も合わせて確認しておくと調整がしやすくなります。
Q.中退した専門学校の就職支援窓口は、退学後も使えるのでしょうか。
学校ごとに対応が異なります。在籍者向けのサービスとして運用されている場合もあるため、使えるかどうかは学校に直接確認してください。使えない場合でも、わかものハローワークや若年層向けの窓口、既卒や未経験の支援を扱う人材紹介会社など、別の相談先があります。学校の窓口に聞くときは、求人紹介だけでなく、在籍期間の証明書の発行について合わせて確認しておくと、後の手続きが一度で済みます。
Q.専門学校を中退してからアルバイトをしていた期間は、応募のときに不利になりますか。
期間があること自体より、その期間に何をしていたかを説明できるかどうかが見られます。アルバイトの業務内容のうち、応募先の仕事と重なる作業があれば、それを具体的な作業の単位で伝えてください。重なる部分がない場合でも、勤務の継続期間や任されていた範囲は伝える材料になります。空白のまま残すより、年月と内容を自分から出したほうが、面接で質問が一点に集中しにくくなります。
Q.面接で「なぜ卒業しなかったのか」を繰り返し聞かれる場合、どう答えればよいですか。
同じ質問が続くのは、答えの中に時期や経緯の具体性が足りず、相手が確認を取ろうとしている場合があります。離れた理由を一文、離れた時期を年月で、その後に何をしていたかを一文、という形で順番を固定して答えてみてください。学校や教員の対応を理由の中心にすると、入社後の不満につながる印象として受け取られる場合があるため、自分が何を判断したかを主語にして話すほうが説明が通りやすくなります。