アルバイトを続けながら正社員を目指すとき、最初につまずきやすいのが履歴書です。職歴欄に書けることが何もないわけではなく、むしろ複数のアルバイト歴があって、どこまで書けばよいのか判断がつかない、という状態になりがちです。
結論から言うと、フリーターの履歴書で読み手の印象が分かれるのは、書いた量ではなく並べ方です。同じ経歴でも、まとめる単位と年月の整え方を変えるだけで、読み手が引っかかる箇所は減っていきます。
この記事では、複数のアルバイト歴をどの単位でまとめるか、いま働いている場合に職歴欄をどこで止めるか、職歴欄に収まらない内容をどの欄へ移すかを、判断軸として整理します。人材紹介会社で累計1,500名以上の転職支援に関わってきた経験では、書類が通りにくい原因は経歴の内容そのものより、書き方の整理不足にある場面が多くありました。その整理の順番をまとめます。
結論:フリーターの履歴書は「何を書くか」より「どう並べるか」で差がつく
書類選考で読み手が最初に追うのは、職歴欄の年月の流れです。アルバイト歴が5件あっても、開始年月と終了年月がつながっていて、それぞれが何の仕事だったか分かれば、件数の多さそのものが評価を下げる場面は限られます。
問題になりやすいのはその逆で、件数を減らそうとして短い勤務先を省いた結果、年月に説明のつかない切れ目ができるパターンです。書類の段階では通っても、面接ではその切れ目を聞かれることになります。先に書いて説明を用意しておく方が、結果として選考は安定しやすくなります。
フリーターの履歴書で整えるべき点は、次の3つに絞れます。
- アルバイト歴を、どの単位でまとめるか
- いまも働いている場合、職歴欄をどこで止めるか
- 職歴欄で説明しきれない内容を、どの欄へ移すか
順に見ていきます。なお、アルバイト経験が一件もなく職歴欄に書けるものがない場合は、欄の埋め方そのものが別の論点になります。その場合は職歴なしの履歴書の書き方を先に確認してください。
複数のアルバイト歴を履歴書にどう並べるか
アルバイト歴の書き方には、大きく3つのパターンがあります。どれが正しいというより、経歴の形によって向き不向きが変わります。
| 書き方 | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| 全件を年月順に列挙する | 勤務先が3〜4件までで、期間に切れ目がない | 1〜2か月の勤務が多いと行数が増え、何を続けてきた人か読み取りにくくなる |
| 長期の勤務先を個別に書き、短期を1行でまとめる | 長期1〜2件に短期が複数ぶら下がっている | まとめた分の期間と件数を、面接で口頭で説明できる状態にしておく |
| 職種ごとにまとめる | 同じ職種を複数の勤務先で経験している | 勤務先ごとの在籍期間が分からなくなるため、年月を各行に併記しないと経歴が追えなくなる |
判断軸1:期間の長さではなく「同じ仕事を続けた単位」でまとめる
まとめる基準を「長かったものだけ書く」に置くと、短期を切り捨てることになり、年月に切れ目ができます。基準を「同じ仕事を続けた単位」に置き替えると、期間の長短に関係なく並べられます。
具体的には、同じ勤務先で途中から職種が変わった場合、1行にまとめず、勤務先名の下に職種ごとの期間を分けて書きます。ホールから調理へ、品出しからレジ締めへといった変化は、続けた期間の中で任された範囲が広がったことを示す情報になります。1行にまとめてしまうと、その情報は消えます。
逆に、1〜2か月で終わった勤務が複数ある場合は、それぞれを個別に書くより「短期アルバイト(〇件)」のように1行でまとめ、開始年月と終了年月だけを通しで示す方が、年月の流れは追いやすくなります。ただし、まとめた中身を面接で聞かれたときに答えられるよう、勤務先と時期を手元にメモしておいてください。
判断軸2:雇用形態を職種と一緒に書き分ける
アルバイトだけを続けてきた場合でも、途中に契約社員や派遣、業務委託が混ざっていることがあります。これをすべて「アルバイト」として書くと、実際より短い在籍期間や軽い担当範囲として読まれることがあります。
書き分ける基準は、雇用契約を結んだ相手です。派遣の場合は、契約先である派遣会社を勤務先として書き、実際に働いた先を「就業先:〇〇(業種)」のように添えます。業務委託だった期間は、勤務先ではなく契約内容が実態なので、職歴欄では「業務委託(〇〇業務)」と書き、内容は自己PR欄に回します。
雇用形態を書き分けておくと、面接で「どこと契約していたのか」を確認する手間が省け、話が経験の中身に進みやすくなります。
判断軸3:いま働いているアルバイトは、退職時期が決まっているかで書き方を変える
在職中のアルバイトをどう書くかは、退職時期が決まっているかどうかで分かれます。
| いまの状況 | 職歴欄の末尾 | 補足を書く場所 |
|---|---|---|
| 続けていて、辞める時期は未定 | 直近の勤務先の下に「現在に至る」と書いて止める | 様式に本人希望記入欄があれば、勤務開始できる時期の目安を書く |
| 退職日が決まっている | 「現在に至る」で止め、退職予定である旨と時期を併記する | 同上 |
| すでに辞めている | 退職年月まで書いて閉じる | 辞めてから応募までの期間が長い場合は、その間にしていたことを自己PR欄で触れる |
「現在に至る」で止めるか退職予定を書くかで迷ったときは、応募先が入社時期を気にする立場だと考えて判断してください。時期が決まっていないのに「〇月退職予定」と書くと、あとで前後した場合に説明が必要になります。決まっていないなら書かず、開始できる時期の目安だけを示す方が、後から崩れません。
判断軸4:職歴欄に収まらない内容は、自己PR欄に移す
職歴欄に書くのは「いつ・どこで・何の仕事をしていたか」までです。担当した範囲や工夫した点まで職歴欄に詰め込むと、行がはみ出し、年月の流れが読みにくくなります。
書きたい内容が余ったときは、削るのではなく移してください。移す先は自己PR欄や志望の動機欄です。たとえば「シフト作成を任されていた」「新人の指導を担当していた」といった内容は、職歴欄では勤務先と職種だけにとどめ、自己PR欄で応募先の仕事とつなげて書きます。
移す順番を決めるときは、応募する職種を先に固めておくと迷いません。職種が決まっていないと、どの経験を前に出すべきか決まらないためです。応募先の絞り方から整えたい場合はフリーターの就活の進め方を参照してください。
フリーターの履歴書によくある誤解
書き方で迷う手前に、前提の思い込みで手が止まっている場合があります。よく見られるものを3つ挙げます。
誤解1:短期のアルバイトを省くと経歴詐称になる
短期を書かないことに不安を感じるのは、職歴は全部書くものだと説明されることが多いためです。実際に確認されやすいのは、書いた件数ではなく年月のつながりです。短期をまとめて1行にした場合でも、期間が通しで示されていれば、流れは追えます。
避けたいのは、期間ごと消してしまうことです。まとめるのか、期間を残して1行にするのかを分けて考えてください。
判断に迷う目安として、在籍が1か月未満で研修だけで終わった勤務を個別に書くと、行数に対して伝わる情報が少なくなります。一方で、その期間が3か月以上に及ぶ場合は、まとめずに1件として書いた方が年月の説明が簡単になります。
誤解2:掛け持ちしていた期間は重複するので書けない
複数のアルバイトを同時に続けていた期間は、行が重なるため書けないと考えられがちです。開始年月順に別の行として並べて構いません。面接で確認されるのは重複の有無ではなく、その時期に何をしていたかが説明できるかどうか、という場面が多くあります。
同時期に2件あった場合は、勤務時間が長かった方を上の行に置くと、主に何をしていた期間か読み取りやすくなります。
誤解3:応募先と職種が違うアルバイトは書く意味がない
接客のアルバイトから事務職に応募する場合など、職種が違うと書いても無駄だと考えてしまうことがあります。読み手が職歴欄から取るのは職種の一致だけではなく、同じ職場をどれだけ続けられたか、任された範囲が変わったかという情報です。
職種が違う場合は、職歴欄では事実だけを書き、応募先の仕事とのつながりは自己PR欄で説明する、という分担にしてください。
提出前に確認する5つの手順
書き終えたあとに確認する順番です。上から順に進めると、年月の矛盾が残りにくくなります。
- 学歴を古い順に書き、卒業または中退の年月を確定させる
- アルバイト歴を開始年月順に並べ、勤務先・雇用形態・職種を1行ずつ書き出す
- 年月の切れ目を探し、3か月以上空いている箇所に印をつける
- 印をつけた箇所について、その期間にしていたことを一文で言えるか確かめる
- 職歴欄からはみ出した内容を自己PR欄へ移し、最後に年月を声に出して読み上げる
5の読み上げは省かれやすい手順ですが、年月の入力ミスや、前の勤務先の退職年月と次の入社年月が逆になっているといった間違いは、目で追うより耳で追った方が見つかりやすくなります。
3の「3か月以上」は、応募先から質問が出やすい幅の目安です。学校の卒業後に就職活動をしていた期間や、家庭の事情で働いていなかった期間は、空白そのものが問題になるというより、説明が用意されていないと面接で話が止まります。4の一文は、長く書く必要はありません。「アルバイトを探しながら〇〇をしていた」程度でも、その場で黙らずに答えられる状態になります。
書類を出したあとは面接の準備に移ります。当日の服装で迷う場合はフリーターの面接での服装の選び方を確認してください。
まとめ
フリーターの履歴書で整えるのは、書く量ではなく並べ方です。この記事で示した判断軸は3つです。
- アルバイト歴は「同じ仕事を続けた単位」でまとめ、短期は期間を残して1行にする
- いま働いている場合は、退職時期が決まっているかで職歴欄の閉じ方を変える
- 雇用形態は職種と一緒に書き分け、派遣は契約先を勤務先として書く
- 職歴欄は事実だけにとどめ、余った内容は自己PR欄へ移す
アルバイト歴が複数あること自体は、隠す対象ではありません。年月がつながっていて、それぞれが何の仕事だったか分かる状態になっていれば、読み手が引っかかる箇所は減ります。書き方に迷ったら、削る前に移す先を探してください。
どの職種で応募するかが決まらないまま履歴書を書き始めると、前に出す経験が決まらず手が止まります。まずは今の状況から選択肢を整理したい方は、無料の診断ツールをお試しください。
よくある質問
Q.履歴書は手書きとパソコンのどちらで作ればよいですか
応募先が様式や作成方法を指定しているかを先に確認してください。指定がない場合は、修正のしやすさを基準に選ぶと迷いません。複数社に応募するなら、学歴やアルバイト歴は共通で使える部分が多いため、パソコンで作って志望の動機だけ差し替える形にすると作成の手間が減ります。手書きを指定された場合は、下書きを1枚作ってから清書してください。
Q.履歴書に貼る写真は、アルバイトに応募したときのものを使い回してよいですか
髪型や服装が今と大きく変わっていないか、背景が無地かの2点を確認してください。この2点を満たしていれば、スピード写真で撮ったものでも使えます。撮影から時間が経っていて印象が変わっている場合は、面接で会ったときに写真と食い違うため、撮り直しを検討してください。
Q.フリーターでも職務経歴書は必要ですか
応募先が提出書類として指定しているかで決まります。指定がない場合、アルバイト歴が3件以上あって履歴書の職歴欄に収まらないときは、職務経歴書を添えると履歴書側を年月と職種だけで整理できます。経歴が1、2件にとどまるなら、履歴書の自己PR欄で足ります。
Q.学歴欄はどこから書き始めればよいですか
迷う場合は高校の入学から書き始めると、行数の調整がしやすくなります。中学卒業から書く形もありますが、行が足りなくなったときに削る対象は古い方からになります。中退した学校がある場合は、入学と中退の両方の年月を書いてください。
Q.アルバイト先の正式名称が分からないときはどうすればよいですか
手元にある雇用契約書や給与明細の記載、勤務先の公式サイトを確認してください。店舗名しか分からない場合は、会社名に続けて店舗名を添える形にします。チェーン店で運営会社が変わっている場合は、在籍していた当時の名称を書き、面接で聞かれたら現在の名称を口頭で補ってください。