「未経験の業界に転職したい。でも、スキルも実績もないのに本当に採用されるのだろうか」——20代で異業種・異職種へのチャレンジを考えるとき、多くの人が抱える不安です。
結論から言えば、20代の未経験転職は他世代と比べて圧倒的に有利です。市場データを見れば、若さがスキル不足を上回る評価につながる構造が明確に存在します。この記事では、20代の未経験転職の実態と成功のポイント、そして失敗しないためのリスク管理まで整理します。
20代の未経験転職は本当に可能なのか
20代の転職成功率
メイテックネクストの集計によると、25〜29歳の転職成功率は50.3%で、全世代平均より5.1ポイント高い水準にあります。20代後半は転職市場で最も結果を出しやすい年代の一つです。
転職市場全体の動向を見ても、総務省「労働力調査」2024年平均によれば、2024年の転職者数は331万人で前年より3万人増・3年連続の増加となっており、企業側の採用意欲も高い状態が続いています。
未経験歓迎求人の増加傾向
未経験者向けの求人も拡大しています。企業側は未経験者を採用しなければ事業を回せない状況にあり、20代であれば未経験でも入り口は広く開かれています。
未経験と経験者の選考通過率の違い
dodaエージェントサービスを利用した転職者のデータによると、異業種への転職者は50.3%に達しており、未経験転職は決して例外的なことではありません。
ただし、職種によって未経験採用の比率は大きく異なります。マイナビキャリアリサーチLabの調査では、IT業界の求人における経験者比率が54.2%・未経験比率が45.8%と、未経験向け求人が約半数を占めていることが示されており、IT領域では未経験者への門戸が広い実態があります。
20代の未経験転職と年収の関係
20代の転職後の平均年収
マイナビ「転職動向調査2026年版」によると、20代の転職後の平均年収は533.7万円となっています。これは転職全体の水準と比較しても高い数字で、20代が転職市場で評価されている実態を示しています。
未経験転職の年収変動の実態
より実態に近いデータとして、東晶貿易の調査では転職後に年収がアップした人は52.3%・ダウンした人は47.7%と、ほぼ拮抗しています。ダウンした内訳は1〜99万円下がった人が17.9%・100〜199万円下がった人が12.2%でした。
未経験転職では年収が下がるリスクがある一方、doda「2025年度上期版年代別転職時の年収変動レポート」では20代転職者の年収変動は2019年度上期比113%と、中長期で見れば上昇傾向にあります。
年収を上げる人・下がる人の特徴
| 年収アップしやすい特徴 | 年収ダウンしやすい特徴 |
|---|---|
| 需要の高い業界を選んでいる | 需要が低下中の業界に移る |
| 市場価値を事前に把握している | 相場を知らずに提示額を受け入れる |
| インセンティブ型の職種を選ぶ | 固定給のみの職種に移る |
| 複数の内定で交渉できる | 1社のみの内定で決める |
| エージェントを通じて交渉する | 自力で交渉する |
未経験転職で年収を維持・向上させるためには、業界選択と事前準備の両方が重要です。
20代の未経験転職におすすめの業界・職種
ITエンジニア(最も未経験採用に前向き)
レバテック『IT人材白書2025』によると、未経験エンジニアの採用について「採用している」が39.4%・「検討中」が31.2%で、前向きな企業は合計約71%に達しています。
「約7割の企業が未経験エンジニアの採用に前向きであることが分かります」
(出典:レバテック『IT人材白書2025』)
IT業界が未経験採用に積極的な背景には、慢性的な人材不足があります。PotePanによると、「IT業界は慢性的な人材不足に陥っており、2030年には最大で約79万人のIT人材不足」が見込まれています。このため未経験者でも学習意欲と成長速度があれば採用されやすい状況が続いています。
営業職(業界別の年収レンジ)
業界を問わず採用ニーズが大きく、未経験歓迎求人が豊富です。9e Careerによると、営業職未経験の年収レンジは300〜400万円が目安とされています。
ただし、インセンティブ型の企業では成果次第で大幅な年収アップが見込めるため、入社時の基本給が低くても将来的な年収向上を狙える職種です。
Webマーケティング(採用ハードルの実態)
需要が拡大している領域ですが、採用側の目線は変化しています。WebCは次のように指摘しています。
「全くの未経験者がいきなり求人に応募しても、採用される可能性はかなり低く、年々そのハードルは上がっています」
(出典:WebC)
Webマーケティングへの未経験転職を目指す場合、SEO・SNS運用・広告運用などの基礎を独学やスクールで習得してから応募する準備が現実的です。
その他おすすめ業界
リクルートエージェントは、未経験転職におすすめの業界・職種として、Webマーケティング・不動産・ITエンジニア・医療機器営業・物流購買を挙げています。
| 業界・職種 | 未経験採用の前向き度 | 年収レンジの目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ITエンジニア | ◎(約71%が前向き) | 350〜600万円 | 2030年に約79万人不足 |
| 営業職 | ◎ | 300〜400万円+インセンティブ | 業界幅広・成果連動 |
| Webマーケティング | ○ | 300〜450万円 | ハードル上昇中・学習必須 |
| 不動産 | ○ | 400〜1,000万円超 | 成果次第で高年収 |
| 人材業界 | ○ | 350〜800万円 | 3年で600万円超も |
| 医療機器営業 | △ | 450〜600万円 | 専門性が蓄積しやすい |
業界別ケーススタディ:20代の未経験転職事例
人材・不動産業界での年収アップ事例
SQIL Careerのキャリア事例によると、人材業界・不動産業界では入社3年以内で年収600〜800万円に到達するケースがあり、特に不動産業界では入社3年で年収1,000万円を超えるケースも報告されています。
これらの業界は固定給より歩合・インセンティブの比率が高く、成果を出せれば未経験スタートであっても急速な年収アップが実現できる特徴があります。未経験者が多い環境のため、社内での競争という意味でも参入障壁が低い業界です。
M&A仲介の高年収事例
同じくSQIL Careerのデータでは、M&A仲介業界において20代で年収2,000万円超の事例も報告されています。これは例外的な上振れ事例ですが、完全成果報酬型の仕組みを持つM&A仲介では、案件を成立させるたびに高額のインセンティブが発生するため、若手でも極めて高い年収を実現できる可能性があります。
ただし、成果が出なければ年収が極端に低くなるリスクも伴うため、リスク許容度と自己の営業適性を慎重に見極める必要があります。
IT業界の人材不足と未経験者へのチャンス
IT業界では2030年に最大79万人の人材不足が見込まれており、未経験エンジニアへの採用ニーズは今後さらに高まる見込みです。マイナビキャリアリサーチLabのデータが示す通り、IT業界の求人に占める未経験者向けの割合は45.8%と高く、スキルを学んでから挑戦するルートが整備されています。
プログラミングスクール修了後の転職支援・研修制度を持つ企業への入社・OJTで育てる企業など、未経験者を受け入れる仕組みが整っている業界であることが大きな強みです。
20代の未経験転職を成功させるためのポイント
ポテンシャル採用を意識する
マイナビキャリアリサーチが2025年3月に発表した分析では、20代は「ポテンシャル採用」で経験より学習意欲・基礎スキルが重視されると指摘されています。
スキルや経験が足りなくても、**「学ぶ姿勢」「基礎的な思考力」「コミュニケーション力」**を具体的にアピールすることで採用につながります。これは20代ならではの強みです。
面接では次の3点を意識して準備しましょう。
- 学習の具体的な記録:資格・独学・副業などの実績を示す
- 入社後の成長イメージ:「3か月でここまで習得したい」など具体的に語る
- なぜその業界なのかの一貫性:興味・適性・目標が結びついているか
自分の市場価値を把握する
未経験転職では「年収を下げてでも挑戦すべきか」の判断が問われます。現年収が市場相場と比べて高いのか低いのかを知らなければ、判断は感覚的になりがちです。診断ツールやエージェント面談で客観的な数字を把握することが、後悔しない選択の前提になります。
複数のサポートを活用する
未経験転職は情報の非対称性が大きい領域です。一人で情報収集するより、未経験転職に強いエージェントを複数活用することで、業界の実情・採用基準・年収相場をリアルに把握できます。
未経験転職で失敗しないためのリスク管理
年収ダウンのリスクと回避策
東晶貿易の調査では転職後に年収がダウンした人が47.7%いたことを前述しました。未経験転職で年収ダウンを避けるための具体的な対策を整理します。
- 複数社から内定を得る:1社のみの内定は交渉力がない。最低2〜3社の内定を持ってから決断する
- インセンティブ型の職種を優先する:固定給が低くても成果次第で高年収になる職種を選ぶ
- エージェントに交渉を任せる:個人交渉より実績ある交渉代行の方が有利になることが多い
- 入社後の昇給シナリオを面接で確認する:「2年後・3年後の年収目安」を具体的に聞く
定着率の低い業界に注意する
未経験転職先として高年収が魅力的に映る業界でも、離職率が高い場合は注意が必要です。ourlyの業界別離職率データによると、宿泊業・飲食サービス業の離職率は56.6%・生活関連サービス・娯楽業53.7%・教育・学習支援業46.6%と、半数前後が離職している業界があります。
定着率の低い業界に転職すると、再度の転職が必要になるリスクがあります。年収の高さだけでなく、業界の平均在籍年数・離職率も判断材料に加えることが重要です。
まとめ
20代の未経験転職は、データで見ても十分に現実的な選択肢です。25〜29歳の転職成功率は50.3%、未経験歓迎求人は前年比121.8%と拡大中で、企業側も若手人材を求めています。
特にITエンジニア・営業職・不動産・人材業界は未経験採用に積極的で、業界特性を活かした大幅な年収アップも可能なケースがあります。一方で年収ダウンのリスクも約半数に存在するため、事前の相場把握と交渉準備が成否を分けます。
成功のカギは3点です。需要の高い業界を選ぶこと・ポテンシャル採用を意識した自己アピール・市場価値を把握した上で複数の内定を得ること。20代という時間的優位性をどう活かすかに思考を向けることが、納得感のあるキャリア選択につながります。
未経験転職の前に、自分の市場価値と適正年収を把握しておきましょう。無料の診断ツールをお試しください。
よくある質問
Q.20代の未経験転職の成功率はどれくらいですか?
メイテックネクストの集計によると、25〜29歳の転職成功率は50.3%で全世代平均より5.1ポイント高い水準にあります。また、未経験歓迎求人はコレキヨの調査で前年同期比121.8%に拡大しており、企業側の受け入れ姿勢も高まっています。ただし大手企業の特定職種では採用枠が極めて狭いケースもあるため、職種・業界の選択が成否を大きく左右します。
Q.未経験転職で年収はどうなりますか?
東晶貿易の調査では転職後に年収がアップした人は52.3%、ダウンした人は47.7%と拮抗しています。一方でマイナビ「転職動向調査2026年版」では20代の転職後平均年収は533.7万円と高い水準が示されており、業界・職種の選択次第で年収アップは十分に可能です。年収が下がるケースの多くは、相場を把握せずに低い提示額を受け入れてしまうことが原因です。
Q.未経験でも採用される業界はどこですか?
ITエンジニア・営業職・Webマーケティング・不動産・人材業界が代表的です。レバテック『IT人材白書2025』では約71%の企業が未経験エンジニア採用に前向きと報告されています。また、コレキヨの調査では未経験歓迎求人がIT・営業・介護・物流などで前年比121.8%に拡大しており、業界全体として未経験採用のニーズが高まっています。
Q.Webマーケティング職に未経験で転職できますか?
可能ですが、年々採用ハードルが上がっています。WebCの指摘によると「全くの未経験者がいきなり求人に応募しても採用される可能性はかなり低く、年々そのハードルは上がっています」とされており、独学やオンライン学習で基礎知識を身につけてから応募する準備が現実的です。
Q.未経験転職で年収を下げないためにはどうすればよいですか?
自分の市場価値を事前に把握し、適正年収の判断軸を持つことが最重要です。また、インセンティブ型の職種(営業・不動産など)を選ぶと入社時の基本給が低くても成果次第で早期に年収アップできます。複数の内定を取得した上でエージェントを通じて年収交渉することも、条件改善に有効な手段です。