「転職したいけれど、初めてだから何から始めればよいのか分からない」「今の会社にいるべきか、動くべきかが判断できない」——20代で転職を考え始めると、こうした迷いが生じるのは自然なことです。
しかし、データを見ると20代は転職市場において他の世代より有利な立場にあることが分かります。年収アップ率・求人倍率・ポテンシャル評価のすべてで、20代は転職成功の可能性が高い年代です。
この記事では、20代の転職市場の実態を統計データで整理し、前半・後半の戦略の違いから活動期間・よくある失敗まで包括的に解説します。
20代の転職市場の実態
20代の転職率と転職者数の推移
厚生労働省「令和2年転職者実態調査」によると、在籍する一般労働者に対する転職者の割合は7.2%とされており、転職はすでに一般的な選択です。
マイナビキャリアリサーチによると、2024年の転職者数は331万人で、前年より3万人増・3年連続の増加となっています。さらにマイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)速報」では、2025年の正社員の転職率は7.6%で前年(7.2%)から0.4pt増加し過去最高水準に達しています。
転職率の推移を見ると、転職は「特別な決断」ではなくキャリア形成の標準的な選択肢になっています。
日本全体で広がる転職希望者の増加傾向
総務省統計局の調査によると、転職等希望者は1,035万人で、78万人増加・10期連続で過去最多を更新しています。
実際に転職した人だけでなく、転職を視野に入れて行動している人の規模が拡大しています。この背景には、終身雇用の前提が薄れ、キャリアを自分で設計する意識の広がりがあります。
転職率の年次推移
厚生労働省「令和6年雇用動向調査」によると、年齢階級別の転職入職率は20代が他世代より高い水準で推移しており、20代は転職が最も活発な世代です。
マイナビ「転職動向調査2025年版」では転職率7.2%が示されており、2025年には7.6%まで上昇しています。この傾向は今後も継続する見込みです。
20代が転職する主な理由
給与・年収アップを求める動き
学情の2025年9月調査によると、20代転職希望者の転職理由は、給与・年収アップが45.4%でトップを占めています。給与水準の改善が20代の転職における最大の動機です。
労働環境・やりがいへの不満
同調査では、やりがい26.8%・残業削減21.6%も上位に挙がっています。年収だけでなく、働きがいとワークライフバランスを求める動きも顕著です。
| 転職理由 | 割合 |
|---|---|
| 給与・年収アップ | 45.4% |
| やりがい・達成感 | 26.8% |
| 残業削減・休日確保 | 21.6% |
転職理由から見えるキャリア観の変化
マイナビキャリアリサーチLabの調査では、20代後半は特に葛藤している割合が高かったという結果が示されています。ライフステージの変化(結婚・住居・子育て)と転職が重なる20代後半は、年収・安定・成長への欲求が複合的に絡み合う時期です。
単純な「不満からの逃避」ではなく、長期的なキャリアと生活設計を見据えた選択として転職を捉える傾向が20代に広がっています。
20代の転職後の年収・キャリア変化
20代は年収アップが期待できる年代
doda/パーソルキャリアのデータによれば、20代の転職前後の年収変動は平均105%アップで、平均決定年収額は2019年比111%増となっています。
マイナビ「転職動向調査2025年版」でも、転職後の平均年収は転職前比+22.0万円、年収が上がった人は43.6%という結果が示されています。20代の転職は中長期で見ても年収上昇傾向にある年代です。
20代の平均年収の詳細データについては20代の平均年収・20代の年収の各記事で確認できます。
転職前後の年収変動の具体データ
年収アップする人が43.6%いる一方、約3割は年収が下がるケースもあります。業種・職種の選択と自分の市場価値の把握が結果を左右します。年収が下がるリスクを最小化するには、現職の年収が市場相場と比べて高いのか低いのかを事前に確認することが重要です。
年収以外に変わるもの
転職による変化は年収だけではありません。
- 労働時間・働き方:残業削減・リモートワーク導入で生活の質が改善
- 業務内容:希望する仕事への転換・キャリアの方向性の変更
- スキル習得機会:成長環境を選び直すことで将来の市場価値が高まる
- 人間関係・文化:組織風土のリセットによる環境の刷新
20代の転職活動期間の実態
内定獲得までの期間分布
Miidas Magazineの調査によると、内定獲得までの期間は1か月未満が30.6%・離職期間なしが21.5%・1か月以上4か月未満が30.6%という分布です。約半数が1か月以内に内定を得ており、2か月以内を含めると大多数が決着しています。
deaeru-agentは次のように述べています。
「20代の場合はポテンシャルや若さを武器に、平均2.5ヶ月という短期間で成功させることも十分に可能」
(出典:deaeru-agent)
20代前半と20代後半の活動期間の違い(ケーススタディ)
my-style-jobのデータによると、20代前半の平均活動期間は約2.3か月・20代後半は約3.4か月と、後半の方が約1か月長くなる傾向があります。ビーシャインの集計でも、20代前半1〜2か月・20代後半2〜3か月という同様の傾向が示されています。
後半の活動期間が長くなる背景には、求められるスキルの具体性が増し・選考の複雑さが上がることがあります。
短期内定を実現する条件
活動期間を短縮するための主なポイント:
- 希望条件の優先順位を決める:「年収より業種優先」など判断基準を明確化する
- 書類の質を高める:自己PRと職務経歴書に具体的な数字を入れる
- エージェントを活用する:非公開求人へのアクセスと選考サポートを得る
- 複数社に同時応募する:選考を並行して進めることで内定獲得が早まる
20代前半と20代後半の転職戦略の違い
20代前半(第二新卒)の強みと戦略
20代前半・第二新卒はポテンシャル採用として扱われます。スキルや実績より、学習意欲・柔軟性・成長可能性が評価軸になります。
戦略の重点:
- ポテンシャルと学習姿勢の具体的なアピール
- 転職理由と志望動機の一貫性
- 未経験歓迎求人・第二新卒歓迎求人を積極的に活用
第二新卒・20代前半の転職については第二新卒の転職・20代の未経験転職の記事でより詳しく解説しています。
20代後半のキャリア戦略
20代後半になると職務経験と実績の具体性が問われます。「何ができるか」を定量的に示せるかどうかが、書類通過率と年収交渉力を左右します。
戦略の重点:
- 実績の数値化(売上◯%増・プロジェクト規模・チーム人数など)
- 専門スキルの言語化と市場での希少性の確認
- スカウト型サービスの活用による受動的な市場価値確認
世代内での位置づけの違い
| 比較項目 | 20代前半(第二新卒) | 20代後半 |
|---|---|---|
| 採用評価軸 | ポテンシャル・成長意欲 | 実績・専門スキル |
| 平均活動期間 | 約1〜2.3か月 | 約2〜3.4か月 |
| 年収交渉の強み | 若さ・柔軟性 | 経験・実績 |
| 有利な求人タイプ | 未経験歓迎・第二新卒歓迎 | 経験者優遇・専門職 |
| 最大のリスク | 早期離職の印象を持たれる | スキルの陳腐化 |
20代前半・第二新卒に強いエージェントは、第二新卒におすすめのエージェントで選び方を解説しています。
20代の転職を成功させるためのポイント
自分の市場価値を客観的に把握する
転職活動を始める前に、自分が転職市場でどう評価されるかを数字で把握することが最重要です。現年収が市場相場と比べて高いのか低いのかを知ることで、年収交渉の判断基準が生まれます。
転職サイトやエージェント面談のほか、診断ツールを活用することで客観的な数字を得られます。20代の転職エージェントの活用方法や転職サイトの選び方も参考にしてください。
転職理由を明確にする
「なんとなく不満」のままで動くと、転職先でも同じ課題に直面するリスクがあります。
- 何を解決したいのか(問題)
- 何を得たいのか(目標)
- 何は妥協してよいのか(優先順位)
この3点を整理しておくことで、求人選びと面接対応の軸ができます。
情報収集と準備に時間をかける
20代は時間的な余裕がある世代でもあります。焦って決めず、複数のエージェントへの登録・求人比較・面接対策に十分な時間をかけることで、納得感のある選択ができます。
複数社からの内定を得ることで年収交渉の余地も広がります。
転職サイト選びに迷う場合は、20代におすすめの転職サイトで主要サービスを比較しています。
20代の転職でよくある失敗パターン
準備不足による判断ミス
転職活動における最も多い失敗が、準備不足のまま動き始めることです。具体的には以下のケースが代表的です。
- 市場価値を把握せずに年収交渉する:相場を知らないため、低い提示額をそのまま受け入れる
- 転職理由を整理せずに面接に臨む:一貫性のない説明で評価を下げる
- 1社しか受けない:比較材料がなく、判断軸がブレる
Miidasの調査でも、内定獲得までの期間には大きなばらつきがあります。準備の差が結果の差に直結しています。
条件の妥協による後悔
転職活動が長引くにつれて「早く決めたい」という焦りが判断を歪めます。
- 内定を急ぎすぎて年収交渉をしない:エージェントに任せれば改善できたケースを見逃す
- 希望条件を下げすぎる:「とにかく転職できればよい」という判断が入社後の後悔につながる
- 入社後に調べればよいと思う:職場環境・評価制度・昇給実績は入社前に確認すべき
転職での年収ダウンを防ぐための対策や、後悔しない選択肢については別記事で詳しく解説しています。
なお、第二新卒がエージェントを使う際のポイントは第二新卒のエージェント活用法で詳しく解説しています。
まとめ
20代の転職市場は活発で、転職率は7.6%と過去最高水準に達しています。データが示す通り、20代は転職による年収アップ実現率が高く(43.6%)、活動期間も平均2〜3か月と比較的短期間での決着が可能な年代です。
成功と失敗を分けるのは事前準備の質です。市場価値の把握・転職理由の整理・複数社への並行応募という基本を押さえることが、後悔のない転職につながります。
20代前半と後半では求められるアピール内容と活動期間が異なります。自分の段階に応じた戦略を持ちながら、転職市場での優位性を最大限に活かしていきましょう。
転職活動の前に自分の市場価値と適正年収を確認しておきましょう。無料の診断ツールをお試しください。
よくある質問
Q.20代の転職は今すぐ動いた方がよいですか?
年齢が若いほど転職市場での評価が高い傾向があるため、動ける状況であれば早めに行動する方が有利です。マイナビの調査では20代の転職後の年収アップ率は43.6%と高く、doda/パーソルキャリアのデータでは20代の転職前後の年収は平均105%と上昇傾向にあります。ただし「なんとなく転職したい」という状態での行動は準備不足による失敗リスクが高いため、転職理由と目標を整理してから動くことが重要です。
Q.20代の転職活動はどれくらいの期間かかりますか?
my-style-jobのデータでは20代前半の平均は約2.3か月・20代後半は約3.4か月とされています。deaeru-agentによると「20代の場合はポテンシャルや若さを武器に、平均2.5か月という短期間で成功させることも十分に可能」とされており、Miidasの調査では1か月未満での内定獲得が30.6%を占めています。準備の質と希望条件の絞り込みが活動期間に直結します。
Q.20代前半と20代後半では転職戦略は変わりますか?
戦略の重点が異なります。20代前半(第二新卒)はポテンシャル採用として評価されるため、学習意欲・基礎スキル・成長志向を前面に出すことが有効です。一方20代後半は職務経験と成果実績が問われるため、定量的な実績の言語化とスキルの専門性アピールが重要になります。活動期間も後半の方が1か月以上長くなる傾向があります。
Q.転職エージェントと転職サイトはどちらを使うべきですか?
役割が異なるため、両方を目的別に使い分けるのが効果的です。転職サイトは求人の幅を広げる情報収集ツール、転職エージェントは書類対策・面接対策・年収交渉のサポートツールです。レバレジーズの調査では20代の転職エージェント利用率は3年連続50%超と、すでに標準的な手段になっています。詳しくは20代の転職エージェントの記事をご覧ください。
Q.20代の転職で年収は上がりますか?
マイナビ「転職動向調査2025年版」では転職後に年収が上がった人は43.6%、平均アップ額は+22.0万円です。一方で年収が下がるケースも約3割存在します。業種・職種の選択と自分の市場価値の把握が年収アップの成否を分ける主要因です。20代の平均年収の詳細は20代の年収の記事で確認できます。