大学を中途退学して、これから就職活動を始めようとしている人へ。まず伝えておきたいのは、履歴書の学歴欄に「中退」の事実をどう書くかで、選考結果は大きく変わるということだ。書き方を誤ると不利になりやすいが、正しい型を押さえれば、中退の事実そのものが致命的な弱点になるわけではない。この記事では、現役の転職エージェントとしての視点から、大学中退者の履歴書における学歴欄・退学理由欄の具体的な書き方と、面接での伝え方の基本を解説する。

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木村 誠

この記事の著者

木村 誠

人材紹介会社 営業マネージャー/転職の教科書 編集長

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大学中退は珍しいことではない

大学中退という経歴に、必要以上の負い目を感じている人は多い。しかし、文部科学省の調査データを見ると、中退は決して特殊なケースではないことがわかる。

文部科学省「令和5年度 学生の中途退学者・休学者数等の調査結果」によれば、令和5年度(対象期間:令和5年4月1日〜令和6年3月31日)における大学の中退者数は53,470人、学生数に占める中退者数の割合は2.04%となっている。

このように、中途退学は毎年一定数生じている進路の一つであり、採用担当者もこの実態を理解している場合が多い。「中退=即マイナス評価」と機械的に判断する企業ばかりではない。大切なのは、中退の事実を隠すことではなく、履歴書上で誠実かつ簡潔に伝える技術だ。

履歴書に「中退」を正直に書くべき理由

学歴を偽り、大学を卒業したかのように記載したり、在籍していた事実自体を省略したりすることは避けたい。学歴を偽って記載することは経歴詐称にあたり、入社後に卒業証明書の提出を求められた際や、健康保険・年金の資格取得手続きの過程で発覚するケースがある。発覚した場合、内定取消しや懲戒処分の対象となり得るというのが、人事・労務の実務における一般的な理解だ。

短期的に選考を通過するために事実を隠すより、中退の事実を前提に、どう伝えれば納得感のある説明になるかを考えるほうが、結果的に選考通過後のミスマッチも防ぎやすい。

学歴欄の書き方【基本ルール】

学校名・学部・学科は正式名称で書く

学歴欄には、大学名・学部名・学科名を省略せず、正式名称で記載する。通称や略称(「○○大」など)ではなく、募集要項や卒業アルバム、入学時の書類に記載されている正式名称を確認しておくとよい。

入学年月と中退年月をどちらも記載する

学歴欄には「入学」と「中途退学」の両方を、年月とともに記載する。中退した年月があいまいな場合は、在籍していた大学の証明書発行窓口や、手元の除籍通知・退学届の控えで確認しておくと確実だ。

「中退」ではなく「中途退学」と記載する

履歴書の学歴欄では、口語的な「中退」ではなく「中途退学」と正式な言葉で記載するのが一般的な書き方とされている。学校名の下に「(学部名)(学科名) 中途退学」という形で1行にまとめる書き方が広く使われている。

退学理由欄・面接での伝え方の型

退学理由をどう書くかは、多くの中退者が最も悩むポイントだ。理由ごとに、伝え方の方向性を整理しておく。

退学理由の傾向履歴書での書き方の例伝える際のポイント
経済的な事情家庭の経済的事情により中途退学具体的な金額や家庭の詳細には触れず簡潔に書く
学業不振・目標の再検討一身上の都合により中途退学面接で「なぜ再検討したか」を前向きに補足する
体調・健康上の理由健康上の理由により中途退学現在は就業に支障がないことを合わせて伝える
就職・進路変更のため就職のため中途退学中退後の行動(就労・資格取得等)とセットで語る

履歴書の理由欄はあくまで簡潔にとどめ、詳細な背景は面接で聞かれた際に補足する、という役割分担を意識するとよい。書類の時点で長々と釈明を書き込むと、かえって読みにくくなり、ネガティブな印象を強めてしまうことがある。反対に、理由欄を空欄のままにしたり、極端に曖昧な表現にとどめたりすると、採用担当者から見て「説明を避けている」という印象につながりやすい点にも注意したい。

中退から就職活動までに空白期間がある場合

中退してすぐに就職活動を始める人ばかりではない。しばらく進路を考える時間を取ったり、家庭の事情で就労できない期間があったりして、中退から就職活動開始まで数か月から1年以上の空白期間ができるケースは珍しくない。

空白期間がある場合も、無理に取り繕う必要はない。履歴書の職歴欄・学歴欄には事実の年月を淡々と記載し、その期間に何をしていたか(アルバイト、資格取得の勉強、家庭の事情への対応など)を自己PR欄や面接で簡潔に説明できるように整理しておくことが重要だ。空白期間の長さそのものより、「その期間をどう過ごし、今どう説明できるか」を採用担当者は見ている。

職歴欄の書き方(アルバイト経験しかない場合)

大学中退後、アルバイトのみで正社員としての雇用契約がない場合、職歴欄の扱いに迷う人も多い。中退後にアルバイトとして働いた経験がある場合は、職歴欄に勤務先を記載し、アルバイトであることを括弧書きで明記するのが基本だ。一方、在学中のアルバイトのみの場合は原則として記載しないが、応募先の職務内容と関係する場合や、責任を与えられた仕事だった場合、ビジネスマナーの基本を習得していることを示せる場合には記載してもよい。働いた経験がまったくない場合は「なし」と記載する。いずれの場合も、担当業務・期間・そこで得たスキルや経験は、自己PR欄や職務経歴書(提出を求められた場合)で具体的に伝えることで、正社員経験と並ぶ判断材料として企業に評価されることがある。職歴なしの場合の履歴書の書き方をより詳しく知りたい場合は、職歴なしの場合の履歴書の書き方も参考にしてほしい。

最終学歴の考え方

大学を中途退学した場合、履歴書の学歴欄の最後には中途退学の事実を記載するが、これとは別に「最終学歴」をどう扱うかという疑問を持つ人もいる。実務上の一般的な理解としては、大学を中途退学した場合、公的な学歴区分上の最終学歴は「高等学校卒業」として扱われることが多い。ただし、これは企業ごとの人事制度や個別の状況によって運用が異なり得るため、応募先ごとの募集要項の指示に従うことが基本になる。

現場で見えてきた傾向

これまで大学中退者の転職支援を担当してきた中で、経済的な事情や学業とのミスマッチを理由に中退した20代前半の求職者を何人も見てきた。共通して見られる傾向として、中退直後は履歴書の学歴欄に事実を書くこと自体への抵抗感が強く、退学理由を曖昧な表現でぼかしてしまうケースが多い。一方で、退学理由を簡潔な一文に整理し、中退後のアルバイト経験で得たスキルを自己PR欄で具体的に説明できている求職者ほど、書類選考の通過率が安定して高い傾向がある。

このことからもわかるように、中退の事実そのものよりも、その後の行動と、それをどう言語化して伝えるかが選考結果を左右する部分は大きい。大学中退後の就職活動全体の進め方については、大学中退者の就職活動の進め方でも整理しているので、あわせて確認しておくとよい。

専門学校中退の場合との違い

大学だけでなく、専門学校を中途退学したケースでも、履歴書の基本的な考え方は共通している。ただし、専門学校は学科によって取得を目指す資格や実習の有無が異なるため、退学理由や中退後の説明の仕方に専門学校特有の注意点もある。専門学校を中途退学した場合の書き方については、専門学校中退の履歴書の書き方で個別に解説しているので、該当する人は参照してほしい。

提出前に確認したいチェックポイント

履歴書を提出する前に、以下の点を確認しておくと、書類の完成度を高めやすい。

  • 学校名・学部名・学科名が正式名称になっているか
  • 入学年月・中途退学年月の記載に誤りがないか
  • 退学理由欄が簡潔にまとまっているか(長すぎないか)
  • 誤字脱字がないか、第三者にも一度確認してもらったか

こうした基本的な確認を怠らないことが、中退の事実そのものよりも選考結果に影響することは少なくない。書類作成に時間をかけられる人は、家族や友人など、客観的な視点を持つ第三者に一度読んでもらい、退学理由の伝わり方に違和感がないかを確認してもらうのも有効だ。

まとめ

大学中退という経歴は、令和5年度の文部科学省データでも5万人を超える学生が経験している進路の一つであり、特別に珍しいものではない。履歴書では、中退の事実を正直に、かつ簡潔に伝えることが基本になる。学校名・学部名は正式名称で記載し、退学理由は簡潔に整理したうえで、面接で背景を補足する。中退後にアルバイト経験がある場合は、職歴欄にアルバイトである旨を明記して記載したうえで、その内容を自己PR欄で具体的に伝えることで、正社員経験がなくても評価材料を示すことができる。


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Q

よくある質問

Q.大学中退の事実を履歴書に書かなくてもばれませんか?
A.

学歴を偽って記載することは経歴詐称にあたり、入社後の書類提出や各種手続きの過程で発覚することがある。発覚した場合は内定取消しや懲戒処分の対象となり得るため、正直に記載することが基本になる。

Q.退学理由は詳しく書いたほうがいいですか?
A.

履歴書の理由欄は簡潔にとどめ、詳しい背景は面接で聞かれた際に補足する、という役割分担を意識するとよい。

Q.アルバイト経験しかない場合、職歴欄には何を書けばいいですか?
A.

中退後にアルバイトとして働いた経験がある場合は、職歴欄に勤務先を記載し、アルバイトであることを括弧書きで明記するのが基本だ。在学中のアルバイトのみの場合は原則として記載しないが、応募先の職務内容と関係する場合や、責任を与えられた仕事だった場合、ビジネスマナーの習得を示せる場合には記載してもよい。働いた経験がまったくない場合は「なし」と記載する。いずれの場合も、担当業務や得たスキルは自己PR欄や職務経歴書で具体的に補足するとよい。

Q.中退した大学名は書かなくてもいいですか?
A.

学歴欄には在籍していた学校を省略せずに記載するのが基本であり、正式名称・学部名・学科名とあわせて記載する。

Q.大学中退でも正社員として就職できますか?
A.

中退の事実そのものよりも、中退後の行動や、それを履歴書・面接でどう伝えるかが選考結果に影響する部分は大きい。就職活動全体の進め方は、前述の記事もあわせて参考にしてほしい。