既卒として就職活動を始めようとして、新卒との違いがどこにあるのか分からないまま手が止まっている方へ。求人サイトを開くと「新卒採用」「既卒可」「第二新卒歓迎」という表記が並んでいて、自分がどれに応募すればいいのか判断しづらい状況だと思います。

結論から言うと、既卒と新卒の違いは呼び方の問題ではなく、応募できる求人枠・提出する書類・選考が動く時期・面接で確認される内容という4つの実務に出ます。この記事では、その4点を順に整理したうえで、求人票のどこを見れば自分が応募できる枠かを判断できるところまで示します。

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木村 誠

この記事の著者

木村 誠

人材紹介会社 営業マネージャー/転職の教科書 編集長

転職支援実績 1,500名以上

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既卒と新卒の違いは「応募できる枠」と「選考の進み方」に出る

既卒と新卒を分けているのは、卒業しているかどうかという一点です。在学中に卒業後の就職先を決める活動をしているのが新卒、すでに卒業していて正社員としての就職先が決まっていない状態が既卒にあたります。

ただ、就職活動の場面でこの違いが効いてくるのは、言葉の定義そのものではありません。実務で変わるのは次の4つです。

変わるもの新卒既卒
応募できる枠新卒採用枠既卒可の新卒枠・既卒向け枠・中途枠のいずれか
主な提出書類エントリーシート(企業指定の様式)履歴書。職歴欄の記入を求められることがある
選考が動く時期年度ごとに決まった期間募集ごとに異なり、通年のものもある
面接で確認されやすい内容学生時代に取り組んだこと卒業後の期間に何をしていたか

この4つを押さえておくと、「既卒だから不利かどうか」という漠然とした心配ではなく、「この求人に応募できるか」「この書類で何を書くか」という判断に落とし込めます。

なお、既卒者を採用している事業所がどのくらいあるのかという実態や、新卒枠への応募をめぐる国の考え方については、既卒の就活が不利になるのかをデータで整理した記事で扱っています。

既卒と新卒で実際に変わる4つのポイント

1. 応募できる求人枠が分かれる

新卒の場合、応募先は新卒採用枠のほぼ一択です。既卒の場合は、既卒可と明記された新卒枠・既卒や第二新卒を対象にした枠・中途採用枠という複数の入り口が同時に開いています。

ここで起きやすいのが、同じ企業の新卒枠と中途枠の両方に応募してしまうケースです。応募先の企業側では同一人物からの重複応募として処理され、どちらの選考も進まなくなることがあります。企業ごとに応募する枠を1つに決め、応募管理の一覧に「どの枠で出したか」を書き残しておくと、この取り違えを防げます。

2. 提出する書類が変わる

新卒採用では企業指定のエントリーシートが中心になりますが、既卒が応募する場合は履歴書の提出を求められることが多くなります。そして履歴書には職歴欄があります。

卒業後にアルバイトをしていた場合、それを職歴欄に書くのか書かないのかは、応募のたびに迷っていると判断がぶれます。応募を始める前に、「同じ勤務先で6か月以上続けたものは職歴欄に書く」「それより短いものは自己PR欄で触れる」といった自分なりの基準を1つ決めてから書き始めると、複数社に出しても記載が食い違いません。職歴が1件もない場合の書き方は、職歴なしの履歴書の書き方で具体的に扱っています。

3. 選考が動く時期が変わる

新卒採用は年度ごとにスケジュールが決まっていますが、既卒が応募できる枠は募集ごとにばらつきます。注意したいのは、既卒可の新卒枠に応募する場合、締切は新卒のスケジュールに合わせて設定されているという点です。通年で募集している中途枠と同じ感覚で構えていると、新卒枠の締切だけを逃すことになります。

応募先を一覧にするとき、新卒枠のものには締切日を、通年募集のものには「通年」と書き分けておくと、締切のあるものから先に着手できます。

4. 面接で確認される内容が変わる

新卒の面接では学生時代の取り組みが話題の中心になりますが、既卒の場合は卒業から現在までの期間について説明を求められる場面が加わります。

これは適性を疑われているというより、時系列の確認として聞かれていることが多い質問です。その期間に何をしていたか(就職活動を続けていた、資格の勉強をしていた、アルバイトで生活を組み立てていた、家庭の事情があったなど)を、時期とあわせて1〜2文で言えるように整理しておくと、答えに詰まらずに済みます。

転職エージェントとして求職者の相談を受けていると、この質問への答えを用意しないまま面接に臨み、その場で考えながら話した結果、説明が長くなってしまう方を見かけます。長く話すほど、聞き手の側は経緯を追いにくくなります。時期・していたこと・そこから応募先の仕事にどうつながるかの3つを、この順で1〜2文にまとめておく方が、受け答えは安定する傾向があります。

また、新卒のときの就職活動がうまくいかなかった経験を、面接で聞かれてもいないのに自分から説明し始める方もいます。聞かれた範囲に答えるという線を先に決めておくと、話が過去の反省に寄りすぎずに済みます。

新卒・既卒・第二新卒の違いを見分ける

この3つは混同されやすいのですが、分かれ目は卒業しているかと正社員として就職した経験があるかの2点だけです。

区分卒業しているか正社員としての就業経験
新卒卒業前(在学中)なし
既卒卒業済みなし
第二新卒卒業済みあり(比較的短期間で離職)

求人票で「第二新卒歓迎」とだけ書かれている場合、正社員経験がない既卒が対象に含まれるかどうかは募集要項からは読み取れません。この場合は、募集要項の応募資格欄に既卒や未経験について記載があるかを先に確認し、記載がなければ問い合わせ窓口で確認してから応募する方が、書類を作る手間を無駄にせずに済みます。

自分が新卒扱いで応募できる立場なのかを詳しく確認したい場合は、既卒が新卒扱いになる条件を参照してください。

既卒と新卒の違いをめぐるよくある誤解

誤解1:既卒は新卒枠に応募できない

新卒採用という言葉から、在学中の人だけが対象だと受け取られがちです。実際には、募集要項の応募資格欄に「卒業後3年以内の方」といった条件を置いて、卒業済みの人も受け付けている求人があります。

判断の材料になるのは企業名でも規模でもなく、その求人の応募資格欄の書きぶりです。「2027年3月卒業見込みの方」と卒業見込みが条件になっていれば既卒は対象外ですが、「卒業後3年以内の方」であれば対象に含まれます。まず応募資格欄を読む習慣をつけてください。

誤解2:既卒と第二新卒は同じもの

どちらも「卒業後の若い求職者」として一括りに語られることが多いため、同じ意味だと思われがちです。ただ、上の表のとおり分かれ目は正社員としての就業経験の有無にあります。この違いは応募書類に直接影響し、第二新卒であれば職務経歴書を求められる場面が出てきますが、正社員経験のない既卒では履歴書のみで足りる募集もあります。自分がどちらなのかで、準備する書類の点数が変わります。

誤解3:卒業から時間が経つほど選択肢がなくなる

卒業後の期間が長いほど不利になるという受け取り方をされることがあります。実務で変わるのは、応募できる枠の内訳です。卒業からの年数が増えるにつれて既卒可の新卒枠に該当しにくくなる一方、中途枠や未経験歓迎の募集は年数の条件を置いていないものもあります。「選択肢が減る」のではなく「入り口の種類が入れ替わる」と捉えて、探す枠を切り替える方が現実的です。

具体的には、卒業後の年数が条件から外れ始めた時点で、求人を探す軸を「卒業年度」から「必要な経験」に切り替えます。応募資格欄に卒業に関する記載がなく、経験不問と書かれている募集は、卒業からの年数では判断されない枠です。探し方の条件設定をここで変えないまま新卒枠だけを見続けると、応募できる求人が見つからないという結論になりがちです。

誤解4:既卒だと伝えると選考で不利になるので伏せた方がよい

卒業年月は学歴欄に書く項目なので、伏せることはできません。書類の記載と面接での説明が食い違うと、そちらの方が説明の負担が大きくなります。現場で見ていても、卒業後の期間を先に書いて説明を用意している人の方が、面接での受け答えが安定する傾向があります。

求人票で自分が応募できる枠を判断する手順

応募先を選ぶときは、次の順で確認すると迷いにくくなります。

  1. 応募資格欄を最初に読む。卒業見込みが条件か、卒業後の年数で区切られているか、経験不問かを見ます
  2. 卒業年月を自分の学歴と照らす。「卒業後3年以内」の条件は、自分の卒業年月から数えて該当するかを確認します
  3. 求める経験の記載を見る。「社会人経験◯年以上」とあれば、正社員経験のない既卒は対象外の可能性が高いため、確認してから応募します
  4. 提出書類の指定を見る。エントリーシートか履歴書か、職務経歴書が必要かで、準備にかかる時間が変わります
  5. 同じ企業で複数の枠に応募していないか確認する。1社1枠に絞って応募管理表に記録します

この5点は、求人票の上から順に読んでいけば確認できる項目です。応募先が増えてきたときほど、手を動かす前にこの確認を挟む方が、書き直しの手間が減ります。

応募管理の一覧は、表計算ソフトでも手書きのノートでも構いませんが、次の項目を入れておくと、上の5点をそのまま確認できます。

記録する項目何のために使うか
企業名同じ企業に複数の枠で応募していないかの確認
応募した枠新卒枠・既卒向け枠・中途枠のどれで出したか
締切または通年の別締切のあるものから着手するための並べ替え
提出した書類履歴書のみか、職務経歴書も出したか
卒業後の期間の説明どの言い方で出したかを揃えるため

最後の行を入れておく理由は、同じ内容を複数社に出すうちに書類と面接で言い回しが変わってしまうことがあるためです。書いた説明を1か所に残しておけば、面接前にそれを読み返すだけで済みます。

就職活動全体の進め方については、既卒の就職活動の進め方でも整理しています。

まとめ

既卒と新卒の違いは、卒業しているかどうかという一点から始まって、応募できる枠・提出書類・選考の時期・面接で確認される内容という4つの実務の違いにつながっています。

自分が既卒にあたるかどうかを気にするよりも、目の前の求人の応募資格欄を読んで応募できる枠かを判断し、その枠に合わせた書類を用意する方が、選考は前に進めやすくなります。卒業後の期間についての説明は、応募を始める前に一度整理しておくと、どの企業の面接でも使い回せます。


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Q

よくある質問

Q.既卒になると学校のキャリアセンターは利用できなくなりますか。
A.

卒業生が利用できる範囲は学校ごとに定められており、在学生と同じ範囲で使える場合もあれば、利用できる期間や内容に条件がある場合もあります。まず出身校の就職支援部署に、卒業生が使える範囲と手続きを確認してください。求人紹介は受けられなくても、応募書類の添削や模擬面接は受け付けているという運用もあります。

Q.既卒で新卒枠に採用された場合、入社時期は新卒と同じになりますか。
A.

入社時期は募集ごとに異なります。新卒と同じ時期に揃える募集もあれば、内定後の相談で決める募集もあります。応募前に募集要項の入社時期の記載を確認し、記載がなければ選考の途中で確認しておくと、内定後に日程の調整が必要になる事態を避けやすくなります。

Q.大学院を修了して就職先が決まっていない場合も既卒にあたりますか。
A.

学部を卒業した場合と同じく、学校を卒業または修了していて正社員としての就職先が決まっていない状態であれば既卒として扱われます。ただし募集要項で対象を学部卒に限定している求人もあるため、応募資格欄に学歴の指定がないかを確認してください。

Q.応募のときに卒業証明書は必要ですか。
A.

提出書類は募集ごとに指定されます。応募の段階では履歴書のみで、内定後に卒業証明書の提出を求められるという流れもあります。発行に日数がかかる学校もあるため、必要になる可能性を見越して、出身校の発行手続きと所要日数を早めに調べておくと慌てずに済みます。