「転職回数が多いと、やっぱり不利になるんだろうか」——30代で複数回の転職経験がある方がこう感じるのは自然なことです。

ただし、この問いに対して「3回まで大丈夫」「4回以上はNG」という単純な答えを示すことはしません。なぜなら、転職回数は年齢・短期離職の有無・転職理由の一貫性・職種の連続性・応募職種とセットで評価されるものだからです。

この記事では、30代の転職回数の実態分布(何回が多数派か)と、企業が回数をどう評価するかのデータを分けて示した上で、転職回数の多さを「説明可能なキャリア」に変換する方法を整理します。

※PR

ANNA
木村 誠

この記事の著者

木村 誠

人材紹介会社 営業マネージャー/転職の教科書 編集長

転職支援実績 1,500名以上

詳細 →

30代の転職回数の実態

30代前半の転職回数分布

厚生労働省「令和2年転職者実態調査」の個人調査・統計表6では、30〜34歳の転職回数分布が次のように示されています。

転職回数30〜34歳35〜39歳
1回27.1%14.6%
2回24.9%22.2%
3回23.6%25.0%
4回14.8%17.5%
5回3.5%8.3%
6回以上5.7%12.2%
3回以上の合計47.6%63.0%

30〜34歳では1回が27.1%と最多ですが、3回以上の合計が47.6%と約半数に達しています。

30代後半の転職回数分布

35〜39歳になると分布が大きく変わります。1回が14.6%に減少し、3回が25.0%で最多になります。3回以上の合計が63.0%と全体の6割を超え、30代後半では複数回の転職が統計的に多数派です。6回以上の割合も12.2%と、30代前半(5.7%)の約2倍になっています。

転職経験なしの割合

リクルートエージェント「転職回数が多いと不利?」では年代別の転職経験なし割合が示されています。

年代転職経験なし3回以上の転職経験
20代62.3%—
30代44.5%18.8%
40代34.4%33.5%
50代31.7%40.0%

30代で転職経験がない人は44.5%と半数以下です。30代は転職経験者が多数派の世代と言えます。

企業は転職回数をどう見ているか

転職回数を気にする採用担当者の割合

マイナビ「中途採用状況調査2025年版」によると、採用担当者が転職回数を「気にする」と回答した割合は**77.6%**です。約8割の採用担当者が転職回数を確認しているということです。

一方でリクルートエージェント「転職回数に関する調査」では「転職回数は気にならない」と回答した担当者が37.0%います。同じ「採用担当者」でも評価は分かれており、「転職回数を見る企業」と「見ない企業」が実態として存在します。

気にし始める回数の閾値

リクルートエージェントの調査では、採用担当者が気にし始める回数として次の分布が示されています。

気にし始める回数割合
3回23.9%
4回13.1%
5回8.9%
6回以上2.1%
気にならない37.0%

doda「転職回数が多いと選考結果に影響がある?」でも30代候補者について「選考に影響しない」20.4%・「3回目から」19.4%・「4回目から」18.4%と評価が分散しています。

「3回目から気にし始める」担当者が最多ではありますが、4回目から・影響しないという回答も同程度あります。「3回が絶対的な基準」という断定は、このデータからは導けません。

回数以外に見られている要素

採用担当者が転職回数と合わせて確認するのは次のような要素です。

「転職回数だけで判断するのではなく、転職理由や職務経歴との一貫性、今回の転職で実現したいことを確認する。」

(出典:リクルートエージェント「転職回数に関する調査」)

採用担当者が実際に見ているのは「なぜ転職したのか(理由の説明可能性)」「各転職でキャリアが一貫しているか(連続性)」「今回の転職で何を実現したいか(将来への意志)」の3点です。これらが説明できれば、回数の多さは相対化されます。

実態と企業評価のギャップ

30代後半では3回以上が多数派、採用担当者は3回目から気にし始める

ここで重要なのは、実態分布と企業評価の間にある構造的なギャップです。

  • 実態:35〜39歳の63.0%が3回以上の転職経験を持つ
  • 企業評価:採用担当者の23.9%が「3回目から気にし始める」

30代後半では「3回以上の転職」が統計的に多数派にもかかわらず、採用担当者の一部は「3回目から気にする」という状況があります。

このギャップが意味すること

このギャップが示すのは、「3回以上の転職経験者は全員が選考で不利になる」わけではないということです。採用担当者が「気にする」のは回数そのものではなく、「その回数に説明がつくかどうか」です。厚生労働省「平成26年版労働経済の分析 第3章」でも、長期キャリアにおける転職の経路は多様であることが示されています。

63.0%が3回以上という現実は、採用担当者も当然認識しています。問われるのは「多い・少ない」ではなく「その経歴がキャリアとして一貫性を持つか」です。

転職回数と年収の関係

転職回数別の年収データ

内閣府「年齢・学歴別の所得分布」によると、30代男性正規雇用者の平均所得は次の通りです。

転職回数平均所得年収800万円超の割合
転職なし373万円0.78%
転職1回399万円1.15%
転職2回以上432万円1.38%

データの解釈における注意点(重要)

このデータは「転職回数が多いほど年収が上がる」という因果関係を示していません。年齢・学歴・産業・職種・雇用形態などの影響が分離されていないデータであるため、転職回数と年収の相関の背景にある要因を特定することはできません。

補助的な比較として「転職回数が多いことが必ずしも低所得と同義ではない」という事実の確認として活用することが適切です。

回数より重要な要素

年収に実際に影響するのは、転職の方向性(業種・職種の選択)と転職時の年収交渉の質です。「何回転職したか」より「どの方向に転職したか」の方が年収変化に与える影響は大きいことが、現役エージェントとしての木村誠の実感と一致しています。30代の転職と年収アップの関係については別記事でも詳しく解説しています。

転職回数が多い場合の4つの診断ポイント

診断1:短期離職の有無

転職回数の評価において最もリスクが高いのは「短期離職(1年未満)が複数回ある」パターンです。回数が多くても各職場に2〜3年以上在籍していれば、「キャリア設計の途中」として解釈できます。一方、1年未満の離職が複数回あると「定着しない人材」という印象につながりやすくなります。

短期離職がある場合は、その理由が客観的に説明可能かどうか(会社都合・健康・家族事情など)を確認し、説明の準備を最優先に行います。

診断2:各転職の理由に再現性があるか

各転職の理由が「バラバラ」ではなく「一貫したテーマに基づいている」かどうかが採用担当者に問われます。例えば「より大きな裁量のある環境を求め続けた結果の複数回の転職」という説明は一貫性があります。「なんとなく嫌になったから」の繰り返しは説明しにくい。

過去の転職をすべて振り返り、共通するテーマを抽出することが面接準備の第一歩です。

診断3:職種・業界の連続性

職種・業界が転職ごとに変わっているケースと、特定の軸が維持されているケースでは評価が変わります。「マーケティング職を軸に3回転職した」は連続性があります。「営業→経理→エンジニア→人事」という職種を毎回変えたケースは、なぜその変化が必要だったかの説明が求められます。

職種・業界の連続性がない場合でも、「その変化の根拠となる一貫したテーマ(例:事業成長に関わる機能を幅広く経験したかった)」を説明できれば、一貫性を作れます。

診断4:今回の転職で実現したいこと

採用担当者が最も知りたいのは「今回の転職理由」と「入社後に何を実現したいか」です。過去の転職回数が多くても、「今回の転職の必要性」と「入社後のビジョン」が明確であれば、過去の回数は相対的に小さな問題になります。

「なぜこの会社でこの仕事をしたいのか」という具体的な答えを持つことが、転職回数の多さを上回る説得力を生みます。

転職回数を説明可能なキャリアに変換する方法(ケーススタディ)

職務経歴書での書き方

転職回数が多い場合の職務経歴書の基本的なアプローチは「各転職の理由と成果を明記する」ことです。

次の構造で各職歴を記述することで、回数の多さが「必然の結果」として読まれやすくなります。

  • 入社の背景(なぜその転職を選んだか)
  • 担当業務の内容(規模・チーム・予算)
  • 成果(数値・定量的な実績)
  • 離職の経緯(前向きな理由)

特に「なぜ転職したか」の記述は、次の転職でも「同じ理由で辞めるのでは」という懸念を払拭するために重要です。

面接での説明の組み立て方

木村誠が担当した事例として、30代前半の男性(転職経験4回・IT業界のエンジニア・年収480万円)のケースがあります。4回の転職歴を「いろいろなところでやってきた」と漠然と説明していたため、面接の段階で複数社から「なぜそんなに転職を繰り返したのか」という指摘が続いていました。

ヒアリングすると、4回の転職はいずれも「より規模の大きな開発プロジェクトに携わりたい」という動機が一貫していました。1社目はスタートアップ、2社目は中堅企業、3社目は大手企業の子会社、4社目は大手本体という段階的な移動でした。

この一貫したストーリー(「開発規模を意識的に拡大してきたキャリア形成」)を面接の冒頭で説明するよう修正したところ、書類・面接の通過率が大幅に改善。年収550万円での内定を実現しています。

4回の転職という数字は変わらないが、「なぜ4回だったのか」の説明が変わっただけで評価が変わった。

一貫性のストーリー化

30代転職の全体像でも解説している通り、30代の転職では「一貫性と長期視点」が問われます。複数回の転職経験を持つ場合、その全体像を「ひとつの目的に向けた段階的な移動」として整理できるかどうかが、採用担当者への印象を左右します。

  • 縦軸:職種・専門性の深化(同職種で深めてきた)
  • 横軸:業種・規模の拡大(多様な業界で経験を広げてきた)
  • テーマ軸:ライフイベントへの対応・スキル習得の意図

いずれかの軸で転職の連続性を整理することで、「多数の転職」が「計画的なキャリア形成」として読まれる可能性が高まります。30代の転職が難しいと感じる工程別の対処法も合わせて参考にしてください。

市場価値を客観的に把握する方法で自分の市場評価を確認した上で、転職回数を含む自己PRの整理に取り組むと、より精度の高い準備ができます。

まとめ

30代の転職回数をデータで見ると次のことが分かります。

  • 実態:35〜39歳の63.0%が3回以上の転職経験者(多数派)
  • 企業評価:77.6%の採用担当者が転職回数を確認するが、評価基準は回数単独ではない
  • 閾値:「3回目から気にする」担当者が最多だが、「気にならない」担当者も37.0%存在
  • 判断要素:転職理由の一貫性・職種の連続性・今回の転職の必要性・直近の在籍期間がセットで評価される

**「何回まで大丈夫か」という問いへの答えは存在しません。**大切なのは「回数が何回か」ではなく「その回数に説明可能なストーリーがあるか」です。30代の手遅れではないケースと手遅れに近いケースでも解説している通り、転職市場の評価は年齢・回数という単純な変数では決まりません。

転職回数への不安を「数字の問題」として捉えるより、「説明の問題」として捉え直すことが、現実的な対処につながります。


転職活動の前に、自分の市場価値を客観的に把握しておきましょう。無料の診断ツールをお試しください。

Q

よくある質問

Q.30代の転職回数は何回まで問題ないですか?
A.

「何回まで」という単純な答えは存在しません。doda「転職回数が多いと選考結果に影響がある?」では30代候補者について「選考に影響しない」が20.4%・「3回目から」が19.4%・「4回目から」が18.4%と評価が分散しており、「3回が絶対的な基準」というルールはありません。回数は年齢・転職理由の一貫性・職種の連続性・直近の在籍期間などとセットで判断されます。

Q.30代後半で転職回数が4回以上あると不利ですか?
A.

必ずしも不利とは言えません。厚生労働省「令和2年転職者実態調査」では35〜39歳の転職回数分布で3回以上が63.0%を占めており、30代後半では複数回の転職が統計的に多数派です。ただし採用担当者が転職回数を「気にする」割合は77.6%(マイナビ調査)という現実もあります。不利になるかどうかは回数より「転職理由に説明可能なストーリーがあるか」の方が影響します。

Q.転職回数が多い場合、職務経歴書にはどう書けばよいですか?
A.

各転職に明確な理由・背景・転職後の成果を記載することが重要です。「なぜ転職したか」ではなく「転職によって何を習得・実現したか」を記述することで、回数の多さが「多様な経験」として評価されやすくなります。特に職種・業種に一定の連続性がある場合は、その一貫したテーマを職務経歴書の冒頭に整理することで、複数回の転職がひとつのキャリアとして読まれるようになります。

Q.短期離職(1年未満)が複数回ある場合はどうすればよいですか?
A.

短期離職は転職回数そのものより評価に影響する場合があります。特に理由の説明が困難な短期離職(会社都合・健康・家族事情など客観的な理由があれば話は別)は、面接での説明に最も力を入れる必要があります。「辞めた理由」より「次の転職で何を実現しようとしているか」に重点を置いた説明の組み立てが、選考通過率を高める実践的な対策です。

Q.転職回数が多い人は年収が低くなりますか?
A.

一概にそうとは言えません。内閣府のデータでは30代男性正規雇用者の平均所得は転職なしが373万円・転職1回399万円・転職2回以上432万円とされていますが、このデータは年齢・学歴・産業・職種の影響を分離していないため、「転職回数が多いほど年収が上がる」という因果関係を示すものではありません。転職の方向性(上位職種・業種への移動)と準備の質が年収に影響します。